天皇賞(秋)
レース展望

3歳馬と古馬による秋の中距離王決定戦。過去10年で1番人気は[3-3-1-3]で6連対。以前は1番人気が大不振で00年にテイエムオペラオーが勝つまで12連敗。府中の2000mには魔物が棲むとよく言われたものだが、00年以降の6年では中山で行われた02年に牝馬のテイエムオーシャンが13着に敗れた以外は全て連対している。2番人気は[1-2-1-6]で3連対、3番人気は[2-0-1-7]で2連対。藤沢和厩舎の馬が3番人気以内になると[4-2-0-0]で連対率100%。過去10年の連対馬20頭のうち15頭が4番人気以内と人気馬が堅実だが、ここ2年は13、14番人気の牝馬が穴をあけている。

連対馬20頭のうち18頭にG1連対があった。G1連対がなかったのは98年のオフサイドトラップと昨年のヘヴンリーロマンスでともに前走夏のローカル重賞を勝っていた。G1連対のある実績馬が主力だが、夏のローカル重賞勝ち馬も侮れない。連対馬20頭のうち18頭が前走5着以内。前走6着以下に敗れていた2頭には古馬混合G1で連対があった。G1連対のない馬は着外から巻き返すのは厳しい。年齢別では3歳[2-1-0-9]、4歳[6-4-5-41]、5歳[1-4-5-43]、6歳[0-1-0-26]、7歳以上[1-0-0-13]で4歳馬の活躍が目立つ。3歳馬で連対した3頭はG1連対のある藤沢和厩舎の馬。高齢馬は不振。

スイープトウショウは骨折明けの京都大賞典を快勝。4コーナーから直線で池添騎手がどこを割ろうかと絶好の手応えでいざ追い出すと鋭く伸びて楽々と抜け出した。上がり3Fはメンバー最速タイの32.8秒。スローペースで着差はわずかだが、インパクトのある勝ち方だった。昨年の安田記念ではサイレントウィットネスを外から差して2着。続く宝塚記念ではゼンノロブロイとハーツクライを撃破したように牡馬の一線級が相手でも通用する。東京では地下道でイレ込む傾向があるが、それをクリアできれば好勝負だろう。あとは前走スローの上がり勝負だったとはいえ、骨折明けで激走した反動がなければ。

ダンスインザムードは過去2年の天皇賞(秋)で2、3着に好走。いずれも13番人気で大穴をあけたが、今年は毎日王冠で2着したことでかなり人気を集めそう。毎日王冠は直線で北村騎手はギリギリまで追い出しを我慢しようとしていたが、他馬と接触したことで馬が反応して早く抜け出してしまったことが最後に応えたようだ。まともなら勝っていたかもしれない。馬体の成長も感じさせた。天皇賞(秋)やヴィクトリアMのように内で折り合って直線で切れる脚を使って抜け出すのが好走パターン。その点で好枠に入ったが、今年は人気でマークが厳しくなる可能性もある。

アドマイヤムーンはこれまで9戦して[6-1-0-2]で位置取りの悪くなった皐月賞とダービー以外は連対を確保。距離適性を重視して菊花賞をパスして臨んできただけに勝負懸かり。札幌記念では後方からメンバー最速の33.5秒で差し切る強い勝ち方だった。今回は札幌記念とはメンバーが全く違うだけにそこをどう考えるか。武豊騎手は近藤氏のアドマイヤで重賞11連敗中。ダイワメジャーは東京[0-0-0-5]だったが、毎日王冠で東京初勝利。外枠スタートから自分のペースで走れればこなすようだ。今回も外枠に入ったが、東京芝2000mの外枠は不利。地力勝負で差し馬を完封できれば。

オールカマー2着で天皇賞(秋)出走権を掴んだコスモバルク、毎日王冠13着も安田記念1、2着の実績があるアサクサンデンエンあたりが人気面で続きそう。コスモバルクは芝2000m[3-1-0-0]で連対率100%。ラジオたんぱ賞1着、弥生賞1着、皐月賞2着、インターナショナルC3着というのだから価値がある。前走はこれまでのバルクでは考えられないような競馬。芝2000mの皐月賞ではダイワメジャーに負けたが、メンバー最速の33.8秒で上がって高速決着に対応できている。五十嵐冬騎手は東京でバルクに騎乗するのは04年のダービー以来。4コーナーで後ろを何度も振り返ったが、そのときとは精神状態が違う。

アサクサデンエンはドバイ惨敗で安田記念は10番人気だったが、メンバー最速の33.8秒で突っ込んで穴をあけた。さすがに地力があるといったレースぶりで7歳馬でも衰えはなさそう。毎日王冠は走らな過ぎだが、地力はあるので叩き2戦目で変わる可能性はある。名前を挙げなかった馬の中にも地力のある馬はいるし、各馬の最終調教の動き・気配、その他の条件次第で激走があっても何ら驚けない。東京は今週からA→Bコースに替わるので土曜の競馬をよくチェックしたいところ。ジャパンCでディープインパクト、ハーツクライとの対決が楽しみになるような強い天皇賞馬の誕生を期待したい。

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