スプリンターズS
レース展望

秋のスプリント王決定戦。過去10年で1番人気は[4-3-1-2]で連対率70%。連対を外したのは引退レースだったタイキシャトル(3着)、初のスプリント戦だったゼンノエルシド(10着)、直線で致命的な不利があったサニングデール(9着)の3頭。近走好走のG1馬か、芝1200mで4勝以上を挙げている馬なら信頼度は高い。秋開催になった00年以降の連対馬10頭のうち9頭が5番人気以内。00年に16番人気のダイタクヤマトが大穴をあけた以外は5番人気以内で決着している。昨年は5-2-8番人気で決着し3連単は10万馬券になった。高配当を狙うなら3連単が面白い。

人気になるのはサイレントウィットネス、デュランダル、少し離れてアドマイヤマックス、プレシャスカフェ、ケープオブグットホープ。サイレントウィットネスは芝1000mが12戦12勝、芝1200mが4戦4勝、芝1400mが1戦1勝、芝1600mが[0-1-1-0]。1400m以下では[17-0-0-0]でまだ負けたことがない。デビューから無傷の17連勝はイタリアのリボーが1956年に記録した16連勝を抜く世界新記録(20世紀以降)。ディープインパクトが日本の英雄としての階段を昇り始めたが、サイレントウィットネスは香港の英雄で既に歴史的名馬。完成されたスプリンターは相馬眼的に文句のつけようがない。

日本初参戦となった安田記念は初の海外遠征、左回り、ベストより長い1600mと厳しい条件だったが、速いペースの2番手を追走して3着に踏ん張った。前に行った馬はみな直線で失速し、サイレントウィットネスを除き6着まで差し追い込み馬。当日は馬体が大きく減り、イレ込み気味で発汗していたが、それでこのハイパフォーマンス。ゴール寸前でサイレントウィットネスを差したスイープトウショウはその後、宝塚記念を制した。今回は芝1200m、右回りと条件が好転する。如いて課題を挙げれば、高速決着、オーバーペース、直線の急坂か。香港の英雄を打ち破る馬は果たしているのだろうか。

デュランダルは一昨年の勝ち馬。昨年は不良馬場で1枠スタートはかなり不利だったが、大外から早めに捲って2着を確保した。香港マイルは5着に敗れたが、日本では現在G1で5戦連続連対中。追い込みタイプだが、究極の末脚があるため、展開に左右されにくい。今回は休み明けだが、小柄な馬で仕上がりの早いタイプ。ポン駆けが利くことは過去の実績が証明している。ただ昨年は休み明けのスプリンターズSより、マイルCSの方が調教の動き、馬体の作りは良かった。休み明けでも走るが、最大パフォーマンスを発揮するのは次走かもしれない。ただ展開は向きそう。

アドマイヤマックスは高松宮記念で初G1制覇。安田記念は惨敗したが、馬体がスプリント体型になってきてこともあるのだろう。今回は高松宮記念よりメンバーは強い。一昨年に3着したときよりレベルの高い走りが求められる。プレシャスカフェはここ2戦が不甲斐ない内容だが、CBC賞、シルクロードSを連勝したように力はある。精神面を含め立ち直ってくるようなら。ケープオブグットホープはサイレントウィットネスに10戦10敗だが、今年はグローバル・スプリント・チャンレンジの優勝を確定させての参戦。昨年は不良馬場で3着。前走1分8秒5でレコード勝ちしたように良馬場でも少し時計が掛かれば。

あとは昨年の覇者カルストンライトオ、函館SSの勝ち馬シーイズトウショウ、セントウルSの勝ち馬ゴールデンキャスト、昨年5着のシルキーラグーン、セントウルS3着のマルカキセキが続きそう。シルキーラグーンはここ2戦、高速決着に対応できた。本格化して馬体の作り、調教の動きが変わってきたが、このメンバーでどこまでやれるか。内枠スタートからロスのない競馬が理想。マルカキセキはセントウルSで単勝1.8倍の1番人気に支持されたが3着に敗れた。福永騎手は昨年のスプリンターズSで1番人気のサニングデール(マルカキセキと同厩舎)に騎乗し悔しい思いをしている。マルカキセキが見せた夏の強い競馬は1回の敗戦だけで色褪せたのだろうか。人気になる馬はみな休み明けだ。

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