安田記念展望

安田記念
ﾚｰｽ展望

春の東京G1のﾌｨﾅｰﾚを飾る安田記念｡一昨年はｱｸﾞﾈｽﾃﾞｼﾞﾀﾙが復活､昨年はﾂﾙﾏﾙﾎﾞｰｲが初G1制覇を飾った｡今年はどの馬に勝利の女神が微笑むのだろう｡ﾏｲﾙCSを連覇したﾃﾞｭﾗﾝﾀﾞﾙの出走がないのは残念だが､各ｽﾃｯﾌﾟで好走した馬が出走し､まずまずのﾒﾝﾊﾞｰが揃った印象｡香港からはﾁｬﾝﾋﾟｵﾝｽﾞﾏｲﾙの1､2､4着馬ﾌﾞﾘｯｼｭﾗｯｸ､ｻｲﾚﾝﾄｳｨｯﾄﾈｽ､ﾎﾞｳﾏﾝｽﾞｸﾛｯｼﾝｸﾞが参戦する｡ｻｲﾚﾝﾄｳｨｯﾄﾈｽがどんな走りを見せてくれるのだろう｡非常に興味深い｡

過去10年で1番人気は[3-2-1-4]で5連対｡ただし最近5年はｽﾃｨﾝｶﾞｰ4着､ﾌｪｱﾘｰｷﾝｸﾞﾌﾞﾛｰﾝ9着､ｴｲｼﾝﾌﾟﾚｽﾄﾝ5着､ﾛｰｴﾝｸﾞﾘﾝ3着､ﾛｰｴﾝｸﾞﾘﾝ5着と連対がない｡単勝ｵｯｽﾞ別の成績は1.4倍以内[1-1-0-0]､2.0～2.9倍[1-0-0-1]､3.0～3.9倍[1-1-1-0]､4.0倍以上[0-0-0-3]｡1番人気は単勝4.0倍以上だと連対がない｡押し出された人気馬は不振｡今年はﾃﾞｭﾗﾝﾀﾞﾙの回避によって人気はかなり割れそうだ｡

最近5年の馬連は147倍､1206倍､58倍､108倍､31倍で6-4番人気で決着した昨年の31倍が最低配当｡1番人気の不振によってかなり波乱傾向｡東西別では関東馬10連対､関西馬6連対で関東馬が優勢｡関東馬は連対した10頭のうち9頭が5番人気以内だが､関西馬は6頭のうち4頭が6番人気以下の人気薄だった｡3番人気以内の関西馬は[0-1-2-5]で連対したのは02年のﾀﾞﾝﾂﾌﾚｰﾑのみ｡人気の関東馬と人気薄の関西馬で決着することが多い｡

ｺｰｽについて少し触れておくと03年はA→A→B→B→C→C→Aｺｰｽで内側がｸﾞﾘｰﾝﾍﾞﾙﾄで内を通った馬が断然有利だった｡ちなみにBｺｰｽは内ﾗﾁから3m､Cｺｰｽは6mに仮柵が設置される｡昨年はA→A→A→A→C→C→AｺｰｽでAｺｰｽは中2週での使用｡当日雨が降ったので微妙なところだが､勝ったのは直線で馬群を捌いてきたﾂﾙﾏﾙﾎﾞｰｲだった｡今年は昨年と同じA→A→A→A→C→C→Aｺｰｽ｡まずは土曜の競馬で馬場をよく見極めたいところ｡

人気はかなり割れそうだが､日本馬はﾃﾚｸﾞﾉｼｽ､ｱﾄﾞﾏｲﾔﾏｯｸｽ､ﾊｯﾄﾄﾘｯｸ､ﾀﾞﾝｽｲﾝｻﾞﾑｰﾄﾞ､ﾀﾞｲﾜﾒｼﾞｬｰあたりが人気になりそう｡ﾃﾚｸﾞﾉｼｽは言わずと知れた東京巧者｡ﾃﾞﾋﾞｭｰ以来東京芝1400～1800mで10戦して[5-3-1-1]で連対率80%｡唯一着外に敗れたのが03年の安田記念で7着だった｡そのときは内側にｸﾞﾘｰﾝﾍﾞﾙﾄがあったが､ﾃﾚｸﾞﾉｼｽは大外18番枠ｽﾀｰﾄで馬場の悪い外を通らざるを得なかった｡今年も馬場と枠順が鍵を握りそうだ｡

ｱﾄﾞﾏｲﾔﾏｯｸｽは高松宮記念で初G1制覇｡大外から突き抜ける派手な勝ち方だった｡京王杯SCは59ｷﾛを背負って4着｡本番前の一戦で体に少し余裕があったし､59ｷﾛだったことを考えれば内容は悪くなかった｡東京芝1600mは安田記念2着､富士S1着がある得意ｺｰｽ｡馬体が少しずつ短距離の方にｼﾌﾄしてきている感じはあるが､今回はﾏｲﾙを走る体に仕上げてくるのだろう｡昨年のﾏｲﾙCSは力負けといった印象だったが､左回りで武豊騎手なら見直せるか｡

ﾊｯﾄﾄﾘｯｸはﾏｲﾗｰｽﾞCは9着に敗れたが､直線入り口で他馬とぶつかる致命的な不利があった｡東京芝1600mは[3-0-0-0]の得意ｺｰｽ｡東京新聞杯を勝ったときの上がり3Fはﾒﾝﾊﾞｰ最速の32.9秒｡究極の切れ味だった｡今回はG1でこれまでとはﾍﾟｰｽが違うので､それに対応していつもの末脚を繰り出せるかと仕上がり面が課題｡好走ｲﾒｰｼﾞは87年の安田記念で大外一気を決めたﾌﾚｯｼｭﾎﾞｲｽ｡ﾊｲﾍﾟｰｽで逃げたﾆｯﾎﾟｰﾃｲｵｰ(1番人気､2着)｡今年はｻｲﾚﾝﾄｳｨｯﾄﾈｽがいる｡

ﾀﾞﾝｽｲﾝｻﾞﾑｰﾄﾞは京王杯SCは見せ場なく9着に惨敗｡ﾊﾟﾄﾞｯｸで周回ごとにﾃﾝｼｮﾝが高くなっていた｡海外遠征後の休み明け｡馬がまだ走る気持ちになっていなかったのだろう｡ﾚｰｽでは雨とｲﾚ込みも影響もあったのかもしれないが､前に行けずｽﾋﾟｰﾄﾞのなさを露呈した｡ただし今回は距離が1F延びるし､使われたことで落ち着きも出てくるはず｡3歳で秋天とﾏｲﾙCSで2着した実績はやはり無視できない｡ﾃﾞｭﾗﾝﾀﾞﾙ不在の穴を埋められるか｡

ﾀﾞｲﾜﾒｼﾞｬｰはﾀﾞｰﾋﾞｰ卿CTで復活｡ﾉﾄﾞの手術明けだったが､57.5ｷﾛを背負って2着に2馬身差をつけた内容は評価できる｡前に行って最後まで11秒台でまとめられるのは能力の証｡東京ではﾀﾞｰﾋﾞｰ6着､秋天17着と実績はないが､距離や状態に問題があった感｡今回は同じ大排気量ﾀｲﾌﾟのｻｲﾚﾝﾄｳｨｯﾄﾈｽの存在が気になるところ｡柴田善騎手は00年の高松宮記念をｷﾝｸﾞﾍｲﾛｰで勝ってからG1で[0-0-7-70]と不振｡安田記念は93年にﾔﾏﾆﾝｾﾞﾌｧｰで2番手から抜け出して勝っている｡

あとはﾏｲﾗｰｽﾞCを勝ったﾛｰｴﾝｸﾞﾘﾝ､中山記念を勝ったﾊﾞﾗﾝｽｵﾌﾞｹﾞｰﾑ､京王杯SCをﾚｺｰﾄﾞ勝ちしたｱｻｸｻﾃﾞﾝｴﾝ､末脚切れるｶﾝﾊﾟﾆｰとｽｲｰﾌﾟﾄｳｼｮｳなど魅力のある馬が多い｡香港の馬はﾁｬﾝﾋﾟｵﾝｽﾞﾏｲﾙのﾚｰｽを見るとかなりの能力がありそう｡日本のｽﾋﾟｰﾄﾞ競馬に対応できるかが課題だが､能力で克服する可能性もある｡仕上がり､馬場適性などから総合的に判断したい｡今回はAｺｰｽ変更によって馬場や展開に左右されそうだが､底力のある馬は最後にきっちり伸びてくる｡馬の絶対能力と騎手の腕を重視したい｡

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