朝日杯FS
レース展望

2歳王者決定戦。クラシックを目指す高素質馬はたんぱ杯2歳Sに向かう傾向が強いが、今年も例外ではなさそう。キングストレイルの疲労による回避は残念だが、フルゲートの16頭でまずまずのメンバーが揃った。過去10年で1番人気は[5-4-0-1]で連対率90%。前走重賞またはオープン特別を勝っている馬は全て連対を果たしている。1番人気が崩れないため、馬連は6回が10倍以下と堅い決着が多い。ただ10番人気のメジロベイリー、8番人気のエイシンチャンプなど、最近は人気薄も目立つ。

中山芝1600mはスタートしてすぐに2コーナーに向かうため、外枠の逃げ先行馬はコースロスが大きく不利と言われる。昨年は1番人気のメイショウボーラーが8枠15番スタートから逃げて2着に粘ったが、それまでの16年間は8枠の連対はなかった。早いペース、その上コースロスがあると直線で苦しくなる。デビューから4戦全て2馬身以上の差をつけて勝ったメイショウボーラーは克服したが、流れが緩んで内がごちゃつくなど何らかのアドバンテージがないとクリアするのは難しい。ただ絶対に来ない訳ではないので、8枠=消しという短絡的に考えはいけない。

人気になるのは、ストーミーカフェ、ペールギュント、スキップジャック、マイネルレコルトの4頭。ストーミーカフェは小島太厩舎の馬で02年のサクラプレジンデントと同じステップで臨んできた。札幌2歳Sの展望で相馬眼的に注目できる馬と書いたが、レースは早いペースで逃げてそのまま押し切る強い内容。ただし、ここまで2勝がともに逃げ切り。差して勝ったサクラプレジデントとはそこが違う。ここにきて馬体は成長しているが、調教を見るとまだ折り合いに不安を残す。そこが課題だろう。今回とコース形態の似た札幌芝1500mをレコード勝ちしているのは強調材料。

ペールギュントはデイリー杯2歳S1着、東スポ杯2歳S2着と重賞で結果を残してきた。デイリー杯はプラス10キロでいかにも馬体が太く映ったが、直線では一頭だけ次元の違う伸び脚だった。東スポ杯は直線で馬群を捌くのに苦労したが、きっちり2着を確保。10キロ絞れたが、まだ上がある仕上げだった。同厩のローゼンクロイツが京都2歳Sを勝ったことでたんぱ杯2歳Sではなくこちらに回ってきた感が強いが、これまで見せたパフォーマンスから通用していい馬。ただし新馬戦のアンカツのコメントとデイリー杯前の芝調教の動きが少し気になる。力を出し切れれば。

スキップジャックは京王杯2歳Sで最内から鋭く伸びて快勝。天皇賞(秋)の騎乗でテレグノシスを降ろされた勝浦騎手の好騎乗だった。外を回った馬がほとんど伸びない馬場で内々をロスなく回り、直線で柴田善騎手のダイワアプセットが道を譲ってくれたのが大きかったか。メンバー最速の上がり3F34.0秒は評価できるが、多少恵まれた感はある。上体のブレのないフットワークはテイエムオペラオーに似ているが、こういうタイプは渋った馬場を苦にしない。芝コースは午前中稍重だった。このあたりをどう考えるか。

マイネルレコルトは京王杯2歳Sで出遅れて5着。外が伸びない馬場で外々を回ってはさすがに辛かった。新潟2歳Sの後にひと息入れたことで馬がボケていたのか、パドックで馬に覇気がなかった。馬体はプラス4キロだったが少し緩く映ったし、最終調教からも本番を見据えた仕上げだったのだろう。堀井厩舎は朝日杯でシベリアンメドウ(3人気、6着)、マイネルモルゲン(4人気、7着)、アポインテッドデイ(10人気、3着)と最近3年善戦止まり。ここに賭ける意気込みは凄い。過去10年の連対馬は全て前走2着以内というデータを打ち破るか。

ここまで人気馬に関しての見解を簡単に書いた。その他の馬と相馬眼的な見解については有力馬診断で取り上げたい。阪神JFは相馬眼的に高評価して本命を打ったアンブロワーズが2着に入り、馬連8.520円を的中できた。2歳戦は相馬眼重視というスタンスは今回も変わらない。ただし、朝日杯FSというレースを考える上で大きなポイントがある。そのポイントを考慮しないとこのレースは勝てないだろう。昨年の有力馬診断はそのポイントをチェックした上でコスモサンビーム、メイショウボーラー、アポインテッドデイ、グレイトジャーニーに絞ったが、結果は1〜3着独占だった。

そのポイントとは、早いペースの経験。過去10年で最も流れが遅かったのは98年の前半3F35.1秒、5F58.9秒。昨年は3F34.1秒、5F57.5秒、一昨年は3F34.3秒、5F56.9秒と前半から早いペースになるのが特徴。過去10年の連対馬20頭のうち上がり3Fが34秒台だったのは2頭のみ。早いペースで厳しい競馬になるため、真の底力が問われる。緩ペースでの前残りや切れ味だけで勝ってきた馬では通用しない。早いペースで好走経験のある馬に注目したい。ただし相馬眼的に中山コースをこなせるかの見極めが必要になる。

ポイントを考慮した上での現時点の穴馬はセイウンニムカウ。2走前のくるみ賞は時計は目立たないが、重馬場を考えるとラップは優秀。前走は3着に敗れたが、上がりの競馬だった。これまでのレースぶりから左回りの1400mがベストというイメージがあるが、ボリューム感のある馬体の作りとパワフルな脚捌きから急坂のある中山コースはこなせそう。最近気の悪さを見せて馬場入りを嫌がっているようだが、馬体の張り、動きは良く調子は良さそうだ。テン乗りの田中勝騎手は中山芝1600mを得意にしている。内枠を引いて好位につけられれば一発ありそうだ。

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