マイルCS
レース展望

3歳馬と古馬が激突する秋のマイル王決定戦。今年は英国がらラクティが参戦する。昨年のスペシャルカルドゥーン(仏)とトゥスール(英)見せ場なく9着、16着に敗れた。ただ調教の動きや馬体からレース前から予想できたこと。ラクティは昨年の2頭とは実績も馬体の作りも全く違う。怖い存在だ。対する日本馬は昨年のマイルCS1、2着馬のデュランダルとファインモーション。これに桜花賞馬ダンスインザムード、安田記念2着があるテレグノシスとアドマイヤマックスなどが加わる。とにかくラクティの参戦で今年のマイルCSは面白くなった。

過去10年で1番人気は[4-1-0-5]で5連対。G1馬に限定すると[4-0-0-1]で信頼度は高い。時々10番人気以下の極端な人気薄が連対して大波乱になるのが特徴で00年はアグネスデジタル(13人気)、02年はトウカイポイント(11人気)が穴をあけている。馬連3桁配当は94年以降なく、20倍前後か万馬券になることが多い。3連複はスワンSで連対したにも関わらず人気が落ちた馬が3着に入り、2年連続で穴をあけている。今年の該当馬はマイネルソロモン。

あとは何と言っても枠順。過去10年で1、2枠の連対はない。馬場の内側が荒れているため、最初から馬場の悪い内側を通る内枠の馬は苦しくなる。昨年は2番枠を引いたサイドワインダーが1番人気で8着に沈んでいる。1枠から3着に入った2頭は2番手を進んだ馬と後方から追い込んだ馬。極端な脚質ならこなせなくもないので、そこは注意が必要。先週の時点で馬場の内側は荒れていたので、今週はさらに荒れてきそうだ。

人気になりそうなのは、デュランダル、ファインモーション、ラクティ、ダンスインザムード、アドマイヤマックス、テレグノシスの6頭。デュランダルは昨年のスプリンターズSからG1で4戦連続連対。馬場や展開によらず全て連対を果たしたのは絶対能力の高い証拠だろう。今年は裂蹄に悩まされ、2レースとも休み明けで万全ではなかった。前走にしても不良馬場で大外を捲くっての2着。厳しい条件をクリアしての2着は高評価できる。ひと叩きされた今回は体調アップが見込める。今度は直線でもっとガツンとしたものが見られるだろう。この馬の底力を信頼する手はある。

ファインモーションは前走札幌記念を快勝。昨年は毎日王冠で7着に敗れた後で陣営と武豊騎手は手探りのレースだったが、今年は違う。女王杯から1週スライドしたが、それを見越して仕上げているので問題はなさそう。滞在できる北海道では[3-2-0-0]、当日輸送の京都と阪神では[5-1-0-0]、長距離輸送の東京と中山では[0-0-0-3]。今回は[2-1-0-0]の京都コース。年をとって少しズブくなったが、心身ともに成長しているので昨年以上のパフォーマンスが期待できそうだ。内枠を引いてごちゃついた場合が課題。

ラクティはG1-5勝馬。芝2000m以上のG1で4勝挙げていたが、前走のクイーンエリザベス2世CでマイルG1を制した。1分39秒8と時計は遅いが、時計の掛かる馬場でのもの。芝2000mで2分00秒1の持ち時計がある。日本の高速馬場に対応できるかどうかが課題だが、馬体や走法、本馬場追いでの動きから判断したい。昨年暮れの香港Cではファルブラウと0.3秒差の2着。香港に遠征して強い相手にこの差なら評価できる。香港得意のエイシンプレストンは1.3秒差の7着だった。デュランダルを能力で捻じ伏せるとすればこの馬だろう。

ダンスインザムードは秋華賞はイレ込んで直線で失速したが、天皇賞(秋)では内々を回ったとはいえ、直線で一旦先頭に立つ見せ場たっぷりの内容で2着した。18年ぶりの関東馬による桜花賞制覇、67年ぶりの3歳牝馬による天皇賞連対と次々に記録を塗り替えている。中1週の後の中2週で状態面が課題だが、調教は順調に消化しているようだ。前走騎乗したルメールは2000mが限界と話したが、これまで1番強い競馬をしたのが桜花賞。マイルCSで3歳牝馬のシンコウラブリイとキョウエイマーチが2着ならこの馬にもチャンスがあっていい。また記録を塗り替えるのか。

アドマイヤマックスは富士Sを快勝。例年より軽いメンバーだったが、やはり東京コースは走るといった印象。右回り[1-0-3-4]に対し、左回りは[2-2-1-0]で複勝率100%。今回は右回りで鞍上がテン乗りの武幸騎手に替わるのが不安だが、京阪杯で3着した京都外回りコースというのは末脚を生かすのに悪くない舞台。安田記念でクビ差2着、スプリンターズSで0.2秒差の3着があるようにG1でもやれる力はある。ただ勝ち切るのと2、3着では力差は結構あるものだ。

テレグノシスは天皇賞(秋)は勝浦騎手が大外をブン回して見せ場なく11着に惨敗。当日は内しか伸びない馬場で大外を回してはさすがに苦しかった。距離が2000mだったことも微妙に影響しているのだろう。今回は実績のあるマイル戦。02年のマイルCSはメンバーのレベルは低かったが、0.1秒差の4着に善戦している。昨年は14着に敗れたが、海外遠征明けで参考外。この秋は調教の動きが良くピークを迎えているので、このメンバーに入っても十分やれそうだ。ただベストは東京コース。テン乗りの横山典騎手が一発狙った騎乗でどこまで来れるか。

あとは昨年のマイルCS4着で今年の安田記念でも3着したバランスオブゲーム、京都金杯で今回と同コースを勝っているマイソールサウンド、スワンSで2着して京都適性を見せたマイネルソロモン、昨年のマイルCSで逃げて3着に粘ったギャラントアローあたりが穴候補。ただ有力馬とは少し力差がありそうなので、枠順や展開など何かしらアドバンテージが欲しいところ。枠順や馬場状態を考慮した上で総合的に判断して最終決断を下したい。

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