安田記念
レース回顧

ツルマルボーイは後方を進み、直線で馬場の真ん中から馬群を割って伸びると最後はテレグノシスの追撃をクビ差凌いでレースを制した。稍重の馬場で前半3F33.7秒のハイペース。多少展開が嵌った感じもあるが、渋った馬場でメンバー最速の34.0秒を繰り出して勝ったのだから強い。稍重の金鯱賞とメトロポリタンSで2着があり、渋った馬場はある程度こなせるタイプ。パドックでは馬体の張りが目立っていたし、仕上がりも良かったのだろう。橋口厩舎は日曜に追って木曜軽め、この調教パターンは当分続きそうだ。アンカツは5Rのキャメロンガールで大外から追い込んで2着したように当日は色々と試していた。テレグノシスとの差は通ったコースの差と思えるだけにさすがだ。アンカツはこれで今年の東京G1で5戦4勝。自然に出たガッツポーズ。今回が快心の騎乗だったか。ツルマルボーイの次走は宝塚記念。2年連続2着の鬱憤を晴らせるのか楽しみだ。今回の勝利は全妹ツルマルシスターも天国で喜んでいることだろう。

テレグノシスは後方で折り合いをつけ、直線で外に出して追い込んできたが惜しい2着。ハイペースの展開が見方したが、さすがに東京コースだと末脚が切れるといった印象。コース取りの差で負けた感じだが、不利のない外に出して終いを生かした勝浦騎手の騎乗は悪くなかった。むしろ上手く乗った方だろう。パドックでは前捌きが少し硬かったが、周回するごとにほぐれていた。渋った馬場は陣営が中山で負けたときの言い訳に使っただけで元々下手ではない。昨年より馬体に実が入り逞しくなっているが、まだ手足だけで走っている印象。ただそれでこれだけのパフォーマンスがあるのだから凄い馬。

バランスオブゲームは5番手から4コーナーで外を回ってスパート。直線でユートピアを競り落として先頭に立ったが、最後は2頭に差し切られて3着。ハイペースで自分から動いて直線で抜け出す強い内容。調教でも絶好の動きを見せ、宗像調教師渾身の仕上げだったが、今回もG1のタイトルに手が届かなかった。輸送が短く左回りの東京コースがベストで、今回はかなりの条件が揃っていたが・・・。ただここにきて馬体に実が入ってきたことも確か。G1で着順を1つずつ上げてきているので、今後に期待したい。

ユートピアは3番手からしぶとく粘って4着。直線で一杯になりかけたが、いつものように最後に息を吹き返してローエングリンを差し切った。底力を感じさせる走りだった。今回からブリンカーをつけたが、道中スムーズに外めを進めたし、最後までまじめに走っていたように効果はあったのだろう。ブリンカーをつけたことで逆に調教では目一杯走らなかったが、それが良かったのか当日は馬体がフックラして気配は目立っていた。調教動くタイプだが、余力を残してやった方がいいのかもしれない。世代レベルが問われる4歳馬だが、この4着は立派。

ローエングリンは3番手から直線で最内から抜け出しかけたが、最後は力尽きて5着に敗れた。G1で1番人気の逃げ馬を楽に逃がす訳もなく、メジロマイヤーとセルフリットに前に行かれたが、道中はこの馬なりに折り合っていた。グリーンベルトの効果はほとんどなく、逆にそれによってペースが上がる最悪の展開。最後は抜け出しかけたが、こういう展開ではさすがに辛い。パドックではいつもより後肢の踏み込みが硬かったし、絶好調という感じではなかった。G1ならもう少し人気が落ちてマークが緩くなるか、思い切った競馬をするか、何かしら対策が必要なのもしれない。

ファインモーションは道中かかって全く競馬にならず見せ場なく13着に惨敗。スタート直後に自分が寄れてマイソールサウンドに接触、そのあとすぐにミデオンビットに内に寄られて手綱を引き、その後アイランドファッションにぶつけられた。ハイペースでもう少し縦長の展開になら外に出せたのだろうが、結局は内々のまま泥を被って全く力を出せずに終わってしまった印象。パドックではマイナス16キロだったが、昨夏とは違うボリューム感のある馬体で気配は良かった。ただ精神面の課題がまだ拭い去れていないことを露呈したように今後も色々と条件が付きそう。

ウインラディウスは中団を進み、直線で外に出して一瞬伸びかけたが、最後は一杯になって14着に敗れた。1600mの東京新聞杯を勝っているが、そのときより前半5Fが1.5秒早いペースでしかも稍重の馬場。ハイペースで底力が問われたことで、ラスト1Fの踏ん張りが利かなかったのだろう。オリヴァー騎手も話しているが、ベストは1400mか。ただし馬体は相当なレベルに来ているので、適条件なら活躍できるだろう。

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