ファンタジーS
レース回顧

スイープトウショウは出遅れて後方を進んだが、3コーナー過ぎから持ったままで上がって行くと直線では物凄い切れ味を発揮して楽勝した。1枠で揉まれた場合にどうかと思ったが、出遅れたことでそれが回避できた。それほど速くない流れで直線一気を決めるのだから切れ味は相当なもの。しかも4コーナーで1番人気のツルマルシスターを外に出せさせないおまけつき。キャリア1戦の馬がこんな芸当をするのだから末恐ろしい。馬体の裏づけがあるので能力は確かだろう。ただしまだ色々と乗り越えなければならない課題も多い。そのあたりがクリアできればG1を勝てそうだ。

ロイヤルセランガーは中団を進み、直線で最内を突いて一瞬抜け出したが、最後は外から一気に交わされて2着。ロスのない競馬をしたが、馬場の内側が荒れていたことを考えるともう少し走れそう。パドックでは外目を元気良く周回し、調子の良さが目立っていた。現時点での完成度が高く、競馬に注文がつかないタイプ。次もそこそこやれそうだ。

マルターズヒートは4番手からしぶとく伸びて4着。パドックではあまり目立たなかったが、レースでは持ち前のしぶとさを発揮した。坂路を駆け上がるときの脚捌きからダート向きのような気がするが、そういう面で少し渋った馬場というのが良かったのだろう。ただしキャリア1戦、初芝でこれだけの好メンバー相手に3着できたのは立派。当面は芝路線を進みそうだが、ダートに戻ったときは注目したい。

マチカネエンジイロは後方から上がり3F34.2秒の切れ味で4着まで追い上げた。404キロの馬体は華奢に映るが、いいバネを持っている。北海道の2戦で能力の高さを既に証明している。今回は武豊騎手がどれくらいの脚を使えるかを計った感じもあるが、伸び脚は目立っていた。見た目以上に底力があるので、今後注意した方が良さそうだ。春にはもう少し馬体をフックラ見せて欲しい。

フィーユドゥレーヴは好位からしぶとく伸びて5着。パドックではプラス18キロで体が太く見え、さらに馬に覇気がなく、毛づやもひと息だった。それだけによく5着に来たといった印象。パンパンの良馬場での切れ味勝負はまだ未知数だが、今回34.9秒で上がれたことで全く駄目ということはないだろう。函館2歳Sを勝った馬はその後苦戦することが多いが、この馬は単なる早熟タイプでないことを付け加えておく。ただ好走するには色々と条件がつきそうだ。

ツルマルシスターは後方か捲くって行ったが、4コーナーで外からスイープトウショウに来られて直線では前が壁になる不利。結果、追い出しが遅れて7着に敗れた。キャリア3戦のツルマルシスターがキャリア1戦スイープトウショウに押さえ込まれるというのはどうかと思うが、パドックからイレ込んでいたので、アンカツが無理をしなかったということもあるのだろう。昨年のマイルCSを勝ったトウカイポイントなど目一杯の競馬をしなかった馬が次に好走することが多いが、ツルマルシスターはまさにそれに当てはまる。単純な切れ味勝負ではスイープトウショウに勝てるかどうかは微妙だが、ツルマルシスターは小倉芝1800mで先行してレコード勝ちしたようにある程度前に行って地力を発揮する競馬もできる。展開や馬場次第で逆転の可能性を残している。


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