オークス
2020/5/24　東京競馬場　芝2400m

■ レース展望

過去１０年で１番人気は［５−２−１−２］で７連対。単勝１倍台は［１−１−０−０］、２倍台は［２−１−０−１］、３倍以上は［２−０−１−１］で信頼度は単勝オッズに比例する。２番人気は［１−２−４−３］で３連対、３番人気は［２−０−１−７］で２連対。６番人気以下は５連対。最近５年の馬連は１１倍、４倍、２２倍、１１倍、２５１倍。昨年は１２番人気のカレンブーケドールが２着に入り大波乱になった。

連対馬１８頭が前走３着以内。前走桜花賞＆フローラＳ３着以内と忘れな草賞＆スイートピーＳ勝ち馬に注目。前走桜花賞９、１０着から巻き返した２頭は２走前に重賞（フィリーズレビュー、きさらぎ賞）を勝っていた。６番人気以下で連対した５頭のうち４頭が前走重賞３着以内またはＯＰ特別１着だった。残る１頭は２走前に重賞を勝っていた。穴で前走重賞３着以内、ＯＰ特別１着がフロック視されて人気がない馬に注意。

デアリングタクトは新馬、エルフィンＳ、桜花賞をメンバー最速上がりで３連勝。前走桜花賞は中団の後ろからメンバー最速の３６．６秒で差し切って１分３６秒１(重)で優勝。前半５Ｆ５８．０秒のハイペースでレースの上がりは３８．１秒、ラップは１１．７−１２．６−１３．８秒。２番手から２着に粘ったレシステンシアはＮＨＫマイルＣで逃げて２着に粘った。重馬場で消耗戦になった桜花賞で激走した反動がないことが条件。

デアリングタクトの父エピファネイアはジャパンＣ勝ち馬、母の父キングカメハメハはダービー馬。デキ落ちがなければ簡単には崩れないか。松山騎手は東京芝重賞［０−１−１−１９］で連対はヴィクトリアマイルのサウンドキアラ。東京芝２４００ｍは［０−１−２−９］、重賞では［０−０−０−８］で５着が最高。今年の重賞で松山騎手は［６−１−３−１０］、１、２番人気なら［４−０−０−１］。勢いと実力で突破するか。

デゼルは２戦２勝。前走スイートピーＳは後方からメンバー最速の３２．５秒で大外から差し切って１分４７秒１で優勝。２位を０．８秒上回る末脚は強烈だった。母アヴニールセルタンはデビューから６連勝で仏１０００ギニー、仏オークスを勝った馬。２０１５年に吉田照哉氏が購入し、初仔がデゼル。過去１０年で２戦２勝で出走した馬は６、１０、１４着。芝２４００ｍでも問題ないとコメントしたレーン騎手が持ってくるか。

前走桜花賞３着馬スマイルカナ、同４着のクラヴァシュドール、同５着のミヤマザクラ、同６着のサンクテュエール、同７着フィオリキアリ、同８着マルターズディオサ、同１０着リアアメリア、フローラＳ勝ち馬ウインマリリン、同２着馬ホウオウピースフル、忘れな草賞勝ち馬ウインマイティーなど。土曜は曇り一時雨、日曜は曇り時々晴れ。昨年のオークスは２分２２秒８のレコード決着。今年も流れ次第で高速決着になりそうだ。

クラヴァシュドールはサウジアラビアＲＣ２着、阪神ＪＦ３着、チューリップ賞２着、桜花賞４着で大崩れしていない。中内田厩舎のハーツクライ産駒。距離をこなして善戦ガール返上なるか。３戦連続でＭデムーロ騎手が騎乗する。ミヤマザクラは京都２歳Ｓ２着、クイーンＣ１着、桜花賞５着。前走桜花賞は重馬場が堪えたか。芝２０００ｍは［１−１−０−０］。距離２４００ｍ、高速決着に対応できるかがカギ。鞍上は武豊騎手。

フィオリキアリは追加登録料２００万円を支払い、かつ抽選に突破して出走に漕ぎ着けた。前走桜花賞は後方３番手から３位の３７．２秒で馬群を捌きながら追い込んで１．０秒の７着。オークスで田中勝騎手は［０−０−０−１６］で５着が最高。リアアメリアはアルテミスＳで大外一気を決めた馬。阪神ＪＦ６着はハイペース、桜花賞１０着は重馬場＆ハイペースが影響したか。距離延長、良馬場、東京コースでどこまで変わるか。

■ レース回顧

2020年 5月24日(日) 2回東京10日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11Ｒ  第81回優駿牝馬
３歳・オープン・Ｇ１(定量) (牝)(国際)(指定)  芝 2400m   18頭立
------------------------------------------------------------------------------
着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
------------------------------------------------------------------------------
１ 2  4  デアリングタクト   牝 3 松山弘平  55  2.24.4 33.1  1 466 (栗)杉山晴紀
２ 8 16  ウインマリリン     牝 3 横山典弘  55  2.24.5 34.0  7 452 (美)手塚貴久
３ 4  7  ウインマイティー   牝 3 和田竜二  55  2.24.6 34.1 13 474 (栗)五十嵐忠
４ 3  6  リアアメリア       牝 3 川田将雅  55  2.24.7 33.7  8 474 (栗)中内田充
５ 6 12  マジックキャッスル 牝 3 浜中俊    55  2.24.8 33.4 14 422 (美)国枝栄
６ 7 15  チェーンオブラブ   牝 3 石橋脩    55  2.24.9 33.4 17 462 (美)小笠倫弘
７ 5 10  ミヤマザクラ       牝 3 武豊      55  2.24.9 34.1  4 468 (栗)藤原英昭
８ 3  5  ホウオウピースフル 牝 3 内田博幸  55  2.25.0 34.3 10 476 (美)大竹正博
９ 6 11  リリーピュアハート 牝 3 福永祐一  55  2.25.1 33.9  6 430 (栗)藤原英昭
10 8 17  マルターズディオサ 牝 3 田辺裕信  55  2.25.1 34.4 12 434 (美)手塚貴久
11 1  1  デゼル             牝 3 レーン    55  2.25.1 33.8  2 460 (栗)友道康夫
12 7 13  ウーマンズハート   牝 3 藤岡康太  55  2.25.2 34.2 15 456 (栗)西浦勝一
13 8 18  サンクテュエール   牝 3 ルメール  55  2.25.4 34.1  5 458 (美)藤沢和雄
14 7 14  フィオリキアリ     牝 3 田中勝春  55  2.25.6 35.1 16 424 (栗)清水久詞
15 1  2  クラヴァシュドール 牝 3 Ｍ．デム  55  2.25.7 35.4  3 440 (栗)中内田充
16 4  8  スマイルカナ       牝 3 柴田大知  55  2.25.8 35.6  9 420 (美)高橋祥泰
17 2  3  アブレイズ         牝 3 藤井勘一  55  2.26.1 35.7 11 478 (栗)池江泰寿
18 5  9  インターミッション 牝 3 石川裕紀  55  2.26.3 34.7 18 402 (美)手塚貴久
------------------------------------------------------------------------------
LAP :12.3-11.1-12.0-12.3-12.1-12.7-13.0-12.6-12.1-11.2-11.2-11.8
通過:35.4-47.7-59.8-72.5  上り:71.9-58.9-46.3-34.2  平均:1F:12.03 / 3F:36.10
単勝   ４ \160 
複勝   ４ \130 / 16 \420 / ７ \830 
枠連   2-8 \700 (2) 
馬連   04-16 \1800 (4) 
ワイド 04-16 \770 (5)/ 04-07 \1750 (17)/ 07-16 \5740 (50) 
馬単   04-16 \1950 (5) 
３連複 04-07-16 \15020 (47/816) 
３連単 04-16-07 \42410 (119/4896)

デアリングタクトは１、２コーナーでごちゃついて後方を進み、直線で馬群を捌くに手間取ったが、メンバー最速の３３．１秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは２分２４秒４。スマイルカナが逃げて前半５Ｆ５９．８秒。中盤に１２．７−１３．０−１２．６秒と流れが緩んで後半５Ｆ５８．９秒。上がりは３４．２秒、ラップは１１．２−１１．２−１１．８秒。オークスは中盤に流れが緩むことは少ないが、今年は緩んで前が残る展開になった。デアリングタクトは直線で前が詰まって内に切れ込むロスがあったが、そこから一気に加速してきっちり差し切った。一頭だけ次元の違うレースぶりで無敗で２冠を達成。無敗の２冠達成は１９５７年のミスオンワード以来６３年ぶり。パドックでは牡馬のような馬体で一頭だけ抜けて良く見えた。桜花賞のときよりもさらにパワーアップし、今後の可能性を感じさせた。無事に秋を迎えて３冠を達成すれば、ジャパンＣでアーモンドアイと対決することになりそうだ。

ウインマリリンは８枠１６番スタートから内ラチ沿いの２番手につけ、メンバー７位の３４．０秒で最内から抜け出して０．１秒差の２着。横山典騎手がスタートを決めて不利な外枠をクリアさせた。３、４コーナーでタメて少し下げたことも最後の伸びに繋がったのだろう。流れが緩んで内ラチ沿いをロスなく回った馬が２、３着に入った。ウインマリリン、ウインマイティーはガツンと切れないが、それでもデアリングタクト以外を完封できたのは４着以下のレベルが低かったからか。芝１８００ｍの若竹賞で５着に終わったが、芝２０００ｍ以上では［３−１−０−０］。レースが上手く好位につけてしぶとい脚を使えるタイプで本来は直線の短いコースが合っている。秋華賞で内枠から強気なレースをしてデアリングタクトをどこまで苦しめるか。

ウインマイティーは内ラチ沿いの好位からメンバー８位タイの３４．１秒で直線で早めに抜け出して０．２秒差の３着。昨年２着のカレンブーケドールは１２番人気。今年は１３番人気が波乱を演出した。緩い流れで前につけてしぶとい脚を使えるタイプ。最後に止まりかけたのは早めの動いたぶんと距離２４００ｍのせいか。桜花賞馬が勝ち、前走芝２０００ｍを勝った馬が２、３着。重馬場でハイペースの桜花賞を使った馬はデアリングタクト、ミヤビザクラを除き、気配が落ちた馬が多かった。和田騎手は高松宮記念でクリノガウディーが１位降着になってから福島牝馬Ｓ・フェアリーポルカ１着、京都新聞杯・ディープボンド１着など重賞で乗れている。

リアアメリアは中団からメンバー４位の３３．７秒で伸びて０．３秒差の４着。阪神ＪＦはハイペース、桜花賞は重馬場で惨敗したが、アルテミスＳを勝った直線の長い東京コース、良馬場、緩い流れで切れ脚を使ってパフォーマンスを引き上げた。道中折り合い、勝負どころで外に出してスムーズなレースができたことは今後に繋がりそうだ。まだ後脚の踏み込みに力強さが足りない。本質的には中距離タイプか。

マジックキャッスルは後方から馬群を捌いてメンバー２位タイの３３．４秒で追い込んで０．４秒差の５着。直線でデアリングタクトに前に入られて詰まるロスがあったが、そこから鋭く伸びて５着まで追い上げた。直線でスムーズなら３着と際どかったかもしれない。距離に不安があったが、ある程度こなすメドが立った。

デゼルは後方から大外をブン回してメンバー５位の３３．８秒で伸びて０．７秒差の１１着。向こう正面で前が詰まって減速する不利が２回あった。１枠１番を生かせず大外をブン回すレースでは厳しかった。中２週で東京に輸送し、馬体が８キロ減って腹目が細くなっていた。関西馬にはローテーションが厳しかったか。

［Ｈｏｍｅ］