エリザベス女王杯
2019/11/10 京都競馬場 芝2200m

レース展望

3歳馬と古馬が争う女王決定戦。過去10年の1番人気は[1−3−3−3]で4連対。単勝1倍台は[0−1−1−0]、2倍台は[1−0−1−1]、3倍台は[0−2−1−2]で勝ったのは外国馬スノーフェアリーのみ。2番人気は[1−2−1−6]、3番人気は[3−0−1−6]で各3連対。6〜9番人気が5連対、10番人気以下が3連対。人気薄の激走が多く、かなり波乱傾向が強い。最近3年の馬連は137倍、80倍、98倍で荒れている。人気馬に人気薄を絡めて中穴以上を狙うのが妙味。

連対馬13頭にG1連対、3頭にG2勝ちがあった。牝馬の一線級が揃うため、G1実績馬を最重視。これらがない4頭のうち3頭が渋った馬場、残る1頭が大逃げだった。馬場が渋ったら道悪巧者の格下馬に注意。年齢別では3歳[3−4−3−31]、4歳[5−3−6−41]、5歳[2−2−1−50]、6歳[0−1−0−13]、7歳以上[0−0−0−8]で3、4歳馬が活躍している。人気の3、4歳馬が勝つことが多い。6歳馬は1連対、7歳以上は3着以内なし。高齢馬は不振が続いている。

クロノジェネシスは[4−1−2−0]、G1は[1−1−2−0]。前走秋華賞は6番手からメンバー2位タイの36.1秒で抜け出して2馬身差で圧勝。オークスから直行し、馬体20キロ増でG1初制覇を飾った。桜花賞馬とオークス馬が不在で少しメンバーに恵まれたか。過去10年で秋華賞馬は[1−1−1−2]、1、2番人気では[1−1−1−0]。昨年のエリザベス女王杯で半姉ノームコアは0.6秒差の5着だった。17年以降の京都芝2200mで北村友騎手は[1−0−4−11]。

ラヴズオンリーユーは4戦4勝でオークスを制した。オークスは中団からメンバー最速の34.5秒で外から差し切って2分22秒8のレースレコードで優勝。長距離輸送、距離2400m、左回り、外枠を克服してG1初制覇を飾った。2着カレンブーケドール、3着クロノジェネシスは秋華賞で2、1着に入っている。ドバイターフを勝ったリアルスティールの全妹。京都芝では2戦2勝。オークスから直行でどこまで仕上がってくるかがカギ。過去3年のエリザベス女王杯でMデムーロ騎手は1、1、3着。

府中牝馬S勝ち馬スカーレットカラー、同2着馬ラッキーライラック(スミヨン騎手)、エリザベス女王杯で2年連続2着のクロコスミア、中山牝馬S2着馬ウラヌスチャーム(マーフィー騎手)、マーメイドS4着馬センテリュオ(ルメール騎手)など。スカーレットカラーは前走府中牝馬Sを後方2番手からメンバー最速の33.2秒で差し切って1分44秒5(稍重)で優勝。馬体が充実してマーメイドS3着、クイーンS2着、府中牝馬S1着と崩れなくなった。過去10年で岩田騎手は[0−4−0−4]。

ラッキーライラックはデビューから4連勝したが、その後は[0−2−2−3]で詰めが甘く勝ち切れない。前走府中牝馬Sは切れ負けしたが、休み明けで馬体が16キロ増えていた。叩き2戦目、スミヨン騎手でどこまで変わるか。クロコスミアは3年連続で札幌芝2000m→府中牝馬S→エリザベス女王杯というステップ。テン乗りの藤岡佑騎手が持ち味を引き出せれば。ウラヌスチャームは前走京都大賞典7着。叩き2戦目、栗東留学、マーフィー騎手で変わり身に注意。今年は超人気薄が激走する可能性がある。


レース回顧

2019年11月10日(日) 5回京都4日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11R  第44回エリザベス女王杯
3歳以上・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定)  芝 2200m・外   18頭立
------------------------------------------------------------------------------
着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
------------------------------------------------------------------------------
1 1  2  ラッキーライラック 牝 4 スミヨン  56  2.14.1 32.8  3 518 (栗)松永幹夫
2 3  6  クロコスミア       牝 6 藤岡佑介  56  2.14.3 34.8  7 448 (栗)西浦勝一
3 6 11  ラヴズオンリーユー 牝 3 M.デム  54  2.14.3 33.8  1 472 (栗)矢作芳人
4 6 12  センテリュオ       牝 4 ルメール  56  2.14.4 33.7  5 464 (栗)高野友和
5 4  8  クロノジェネシス   牝 3 北村友一  54  2.14.4 33.3  2 448 (栗)斉藤崇史
6 8 17  サラキア           牝 4 川田将雅  56  2.14.5 33.5  9 448 (栗)池添学
7 8 16  スカーレットカラー 牝 4 岩田康誠  56  2.14.7 33.6  4 486 (栗)高橋亮
8 5  9  アルメリアブルーム 牝 5 武豊      56  2.14.8 33.3 13 442 (栗)高橋康之
9 7 13  サトノガーネット   牝 4 坂井瑠星  56  2.14.9 33.2 12 442 (栗)矢作芳人
10 5 10  フロンテアクイーン 牝 6 津村明秀  56  2.14.9 34.2 10 472 (美)国枝栄
11 2  4  ウラヌスチャーム   牝 4 マーフィ  56  2.15.1 33.5  6 500 (美)斎藤誠
12 7 14  ゴージャスランチ   牝 4 幸英明    56  2.15.3 33.3 14 506 (美)鹿戸雄一
13 4  7  レイホーロマンス   牝 6 岩崎翼    56  2.15.5 33.6 18 432 (栗)橋田満
14 8 18  レッドランディーニ 牝 4 池添謙一  56  2.15.5 33.9 17 450 (栗)石坂正
15 2  3  シャドウディーヴァ 牝 3 松山弘平  54  2.15.5 33.8 11 474 (美)斎藤誠
16 3  5  ポンデザール       牝 4 藤岡康太  56  2.15.8 34.4  8 484 (美)堀宣行
17 7 15  ミスマンマミーア   牝 4 浜中俊    56  2.16.0 33.7 16 466 (栗)寺島良
18 1  1  ブライトムーン     牝 5 福永祐一  56  2.16.2 34.1 15 448 (栗)大久保龍
------------------------------------------------------------------------------
LAP :12.7-11.6-13.3-12.7-12.5-12.8-12.3-11.6-11.5-11.4-11.7
通過:37.6-50.3-62.8-75.6  上り:71.3-58.5-46.2-34.6  平均:1F:12.19 / 3F:36.57
単勝   2 \540 
複勝   2 \190 / 6 \330 / 11 \140 
枠連   1-3 \2600 (10) 
馬連   02-06 \3380 (11) 
ワイド 02-06 \970 (11)/ 02-11 \430 (3)/ 06-11 \940 (9) 
馬単   02-06 \5440 (18) 
3連複 02-06-11 \4060 (9/816) 
3連単 02-06-11 \26480 (72/4896) 

ラッキーライラックは1枠スタートから8番手を進み、直線で最内を突いてメンバー最速の32.8秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは2分14秒1。クロコスミアが逃げて前半3F37.6秒、5F62.8秒のスローペース。ラスト4Fからペースアップし、ラップは11.6−11.5−11.4−11.7秒。前に行った馬が粘り込んで完全前残りになりかけたが、ラッキーライラックがこれまで見せたことがない末脚を繰り出して復活Vを飾った。昨年の桜花賞以降は詰めが甘く勝ち星がなかったが、スミヨン騎手に乗り替わってスローペースで中団で脚をタメたことでレースぶりが一変した。前半5F56.1秒のハイペースになったヴィクトリアマイルで好位から33.5秒で上がって0.1秒差の4着に入った馬。これくらい緩い流れなら切れる脚を使えるということなのだろう。土曜のデイリー杯2歳Sではレッドベルジュールが最内を突いて強烈な末脚を繰り出し勝っている。最内が伸びる馬場設定だったのではないか。勝ちタイムは前日の2勝クラスより0.3秒遅く、上がりをまとめていてもレースレベルはそれほど高くない。次走は香港ヴァーズに向かう予定。牡馬を相手に真価が問われる。

クロコスミアは前半5F62.8秒のスローペースで逃げ、勝負どころで後続を引き離しメンバー18位(最下位)の34.8秒で上がって0.2秒差の2着。この上がりで2着に粘ったところにいかにスローペースで後続が動かなかったかが分かる。スローを察知して道中動いたのはセンテリュオのルメール騎手だけ。京都芝2200mは前が残りやすいとはいえ、この流れを放置して逃げた馬に粘られるのはどうなのか。クロコスミアはエリザベス女王杯で3年連続2着。前半5Fは62.0秒、61.4秒、62.8秒で今年が最も遅かった。テン乗りの藤岡佑騎手はしてやったりか。今年のヴィクトリアマイルで5番手から33.5秒で上がって3着に入ったが、4着ラッキーライラックとはハナ差だった。スローペースで後半のスピードが問われ、ヴィクトリアマイルのスピードが利いたのではないか。次走は有馬記念に向かう予定。ラストランになる。

ラヴズオンリーユーは2番手から逃げたクロコスミアを追ってメンバー12位タイの33.8秒で伸びて0.2秒差の3着。2着クロコスミアとはクビ差。長期休み明けの影響なのか、勝負どころで反応が悪く、そこで前に離されたことが堪えた。最後までジリジリと伸びて地力は示している。休み明けで3歳馬同士の秋華賞ならともかく、古馬相手のエリザベス女王杯では荷が重かったか。馬体は16キロ増えて少しパワーアップしていたが、まだ少しバランスが整っていない印象を受けた。次走は香港ヴァーズに向かう予定。

クロノジェネシスは5、6番手からメンバー3位タイの33.3秒で伸びて0.3秒差の5着。好位から33.3秒で上がっており勝ってもおかしくない走りをしているが、勝負どころで前に離されたことが堪えた。前に行ったオークス馬ラヴズオンリーユーを交わすことができず、これでオークスに続き2連敗。秋華賞はやはりメンバーに恵まれたのではないか。半姉ノームコアは4歳になってヴィクトリアマイルを制している。馬体はまだ強くなる余地がある。今後はひと息入れて来年に備える予定。

スカーレットカラーは5、6番手を進み、直線で外からメンバー8位タイの33.6秒で上がって0.6秒差の7着。直線で外に出して追ったが、前との差が詰まらず、最後は一杯になった。府中牝馬Sは前半5F58.3秒、今回は62.8秒でその差4.5秒。初の芝2200mが影響したとも言えなくもないが、馬体が14キロ増えて太め残りだったことが堪えたのではないか。相馬眼的にG1で通用する能力はあるが、まだ厩舎力が足りないのかもしれない。次走は有馬記念に向かうプランがある模様。



[Home]