ラジオNIKKEI賞
2019/6/30 福島競馬場 芝1800m

レース展望

3歳限定の中距離ハンデ重賞。過去10年で1番人気は[2−3−1−4]で5連対。前走500万条件は[0−2−0−0]、OP特別は[2−1−1−2]、G1は[0−0−0−2]。前走G1で目一杯のレースをした馬は危険。2番人気は[4−1−1−4]で5連対、3番人気は[1−1−0−8]で2連対。6〜9番人気が3連対、10番人気以下が2連対。最近5年の馬連は18倍、14倍、35倍、45倍、8倍で中穴止まり。

連対馬17頭が芝1800m以上で勝っていた。マイルまでしか実績がない馬は不振。芝1800mは適性の差が出やすい距離。芝1800mで勝っている馬、特に2勝以上している馬に注目。連対馬14頭が前走3着以内。前走4着以下から6頭が連対しており、前走1000万条件以上なら着順不問。前走500万条件は1番人気で勝ってきた馬が活躍。7年で条件戦組が連対している。3歳限定のハンデ戦で重賞実績は問われない。

ヒシイグアスは[2−1−0−1]で新馬戦でラストドラフト(京成杯)に負けたが、逃げて未勝利、若竹賞を2連勝。前走スプリングSは2番手から伸び切れず0.2秒差の5着。道中ずっと外からマークされたこと、馬体が16キロ減って腹目が細くなっていたことが影響したか。セレクトセールで1億円で取り引きされた堀厩舎のハーツクライ産駒。ひと息入れてどこまで復調してくるか。先行力があり、いかにも小回り向きの馬。デビューから全て外国人騎手が騎乗しており、今回はテン乗りのMデムーロ騎手に乗り替わる。

ランスオブプラーナは[3−2−1−1]で前走皐月賞18着を除き3着以内を確保。芝1800mは[2−0−1−0]で得意にしている。2走前の毎日杯はハナを切って前半5F60.7秒のマイペースで進み、メンバー5位の34.3秒でまとめて1分47秒2で優勝。ラスト3Fは11.2−11.2−11.9秒。緩い流れでラスト3Fを高速ラップでまとめて押し切った。メンバー唯一の重賞勝ち馬のため、トップハンデ57キロを課せられた。過去10年で57キロを背負った馬は[0−0−0−5]で不振が続いている。

京都2歳S2着&弥生賞3着馬ブレイキングドーン、スプリングS3着馬ディキシーナイト、白百合S勝ち馬レッドアネモス、前走500万条件を勝ったブレイブメジャー、ゴータイミング、前走青葉賞9着のアドマイヤスコール、前走ダービー11着のマイネルサーパスなど。過去10年で6番人気以下は[1−4−6−89]で2、3着が多い。人気馬に人気薄を絡めて中穴以上を狙うのが妙味か。日曜は雨が降る予報が出ている。福島は開幕週で馬場は良さそうだが、木曜から雨が降る予報が出ており、重の巧拙が問われそうだ。

ブレイキングドーンはデビューから福永騎手が騎乗し[1−1−1−3]。芝1800mは新馬戦で2番手から抜け出して1分50秒5(稍重)で3馬身差で圧勝している。重馬場の弥生賞で3着に入ったように道悪をこなすタイプ。今年の重賞で田辺騎手は[0−0−0−26]、1、2番人気では[0−0−0−7]。ディキシーナイトは[2−1−2−1]。前走スプリングSは好位から早めに動いてメンバー7位の35.3秒で伸びて頭+クビ差の3着。大型馬で馬体に緩さがあるが、使いながら少しずつ仕上げが進んでいる。

レッドアネモスは新馬、サフラン賞を連勝した後不振が続いたが、前走白百合Sを3番手から抜け出して1分47秒6で優勝。前半5F61.8秒のスロペースでレースの上がりは33.8秒。地力タイプが牡馬を相手に瞬発力勝負を制した。内枠に入って立ち回りの上手さを生かせれば。ゴータイミングは芝1800mの新馬戦を外から差し切り1分50秒9(重)で勝っている。前走500万条件は前半5F62.0秒のスローペースでメンバー最速の32.8秒で差し切って快勝。今年の芝重賞で武豊騎手は[1−3−2−21]で勝率3.7%。


レース回顧

2019年 6月30日(日) 2回福島2日  天候:小雨  馬場状態:不良
11R  第68回ラジオNIKKEI賞
3歳・オープン・G3(ハンデ) (国際)(特指)  芝 1800m   16頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 7 14  ブレイキングドーン 牡 3 田辺裕信  55  1.49.8 35.9  3 488 (栗)中竹和也
2 1  2  マイネルサーパス   牡 3 柴田大知  54  1.49.9 36.3  9 476 (美)高木登
3 7 13  ゴータイミング     牡 3 武豊      53  1.50.1 35.6  6 448 (栗)松永幹夫
4 2  3  ダディーズマインド 牡 3 宮崎北斗  54  1.50.1 36.8  7 472 (美)青木孝文
5 8 16  アドマイヤスコール 牡 3 横山典弘  54  1.50.1 36.2 13 480 (美)加藤征弘
6 6 11  ヒルノダカール     牡 3 丸山元気  53  1.50.3 36.1  5 510 (栗)北出成人
7 3  6  ブレイブメジャー   牡 3 戸崎圭太  54  1.50.5 37.0  4 488 (美)萩原清
8 2  4  ポルーニン         牡 3 武藤雅    53  1.50.5 36.3 15 482 (美)戸田博文
9 5  9  ヒシイグアス       牡 3 M.デム  54  1.51.0 36.7  1 488 (美)堀宣行
10 4  8  サヴォワールエメ   牝 3 内田博幸  51  1.51.0 36.5 14 436 (栗)友道康夫
11 3  5  ディキシーナイト   牡 3 石橋脩    56  1.51.1 37.7  2 532 (美)国枝栄
12 4  7  インテンスライト   牡 3 菊沢一樹  54  1.51.3 37.4 11 490 (美)菊沢隆徳
13 5 10  レッドアネモス     牝 3 北村友一  54  1.51.6 37.6  8 474 (栗)友道康夫
14 6 12  ウインゼノビア     牝 3 津村明秀  53  1.51.7 37.6 16 460 (美)青木孝文
15 8 15  ランスオブプラーナ 牡 3 松山弘平  57  1.51.8 38.0 10 452 (栗)本田優
16 1  1  ギルマ             牡 3 三浦皇成  53  1.51.9 38.2 12 494 (栗)高橋義忠
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LAP :12.6-11.1-12.2-12.6-12.5-12.3-12.4-11.9-12.2
通過:35.9-48.5-61.0-73.3  上り:73.9-61.3-48.8-36.5  平均:1F:12.20 / 3F:36.60
単勝   14 \840 
複勝   14 \280 / 2 \520 / 13 \400 
枠連   1-7 \2400 (12) 
馬連   02-14 \6240 (24) 
ワイド 02-14 \2050 (23)/ 13-14 \1520 (9)/ 02-13 \3800 (56) 
馬単   14-02 \11290 (40) 
3連複 02-13-14 \26540 (98/560) 
3連単 14-02-13 \142140 (511/3360) 

ブレイキングドーンは後方から外を回って進出し、メンバー2位の35.9秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分49秒8(不良)。ダディーズマインドが逃げて前半5F61.0秒。後半5Fは61.3秒でラスト3Fは12.4−11.9−12.2秒。道中ラップが落ちず、不良馬場で道悪の巧拙と末脚の持続力が問われるレースになった。ブレイキングドーンは外を回っていい脚を長く使って差し切る強い内容で重賞初制覇。道悪巧者のヴィクトワールピサ産駒で不良馬場がプラスに働いている。相馬眼的に以前から重賞で勝ち負けできる馬と言い続けてきた馬。予想時点では8番人気で穴馬で狙ったが、最終的には3番人気になった。ずっと馬体が太い状態で走っており、馬体が絞れれば一変するとみていたが、2戦連続で馬体が減ってレースぶりが一変した。今年の重賞で3着以内がなかった福島出身の田辺騎手はようやく重賞制覇。京都2歳S2着、弥生賞3着がある馬がハンデ55キロ。予想に書いた通り、JRAからの田辺騎手への助け舟だったのではないか。勝って賞金を加算できたため、秋は菊花賞を目指すことになりそうだ。中竹調教師は史上6人目、現役5人目の全10場重賞制覇となった。

マイネルサーパスは1枠2番からスタートを決めて内ラチ沿いの4番手につけ、メンバー5位タイの36.3秒でしぶとく伸びて0.1秒差の2着。同コースのきんもくせい特別を大外一気で1分46秒2のレコードで勝った馬が9番人気で激走した。柴田大騎手が不良馬場で内をロスなく回って好位につけ、持ち前のしぶとさを引き出した。これで芝1800mは[2−1−1−0]で3着以内を確保。近走不振が続いていたが、きんもくせい特別でダノンチェイサー(きさらぎ賞)に勝ったのはやはりダテではなかった。柴田大騎手は道悪は得意でないとコメント。開幕週のいい馬場で内をロスなく回ったことで得意ではない道悪を相殺できたのではないか。今後出走できる小回りの芝1800m重賞は小倉大賞典、中山記念しかない。そのため今後は距離を1F延ばすことになりそうだ。昨年以降の重賞で高木厩舎は5番人気以内[0−0−1−6]、6〜9番人気[3−1−1−6]、10番人気以下[0−0−0−17]。6〜9番人気になったときは要注意。

ゴータイミングは出遅れて最後方を進み、メンバー最速の35.6秒で大外から追い込んで0.3秒差の3着。武豊騎手が終い勝負に徹して最後に外から突っ込んできた。重馬場の新馬戦でサトノルークス(すみれS)に勝ったように道悪をこなすタイプ。小柄な馬だけに前走から3キロ減の53キロも良かったのだろう。最後の脚色を見る限り、出遅れずに流れに乗れればもう少しやれたのではないか。

アドマイヤスコールは大外枠から最内に入れて徐々に進出し、メンバー4位の36.2秒で上がって0.3秒差の5着。横山典騎手が内をロスなく回っていい脚を長く使ったが、直線で少し狭くなったことが堪えた。手応えが悪くなっても追えば最後までしぶとく伸びるタイプ。横山典騎手が大外枠から最内に入れたが、末脚に持続力があるだけにブレイキングドーンのように外を回る手もあったか。心肺機能の高い馬。こういう馬はタフなレースになると激走するので注意したい。

ヒシイグアスは6番手から徐々に後退し4コーナー最後方。そこからしぶとく伸びて1.2秒差の9着。上がりはメンバー8位の36.7秒。Mデムーロ騎手は今日のような馬場は合わないとコメント。休み明けで緩い仕上げだったことも考慮しておきたい。前走スプリングSの回顧でも書いたが、良馬場で差すレースをすると変わる可能性がある。



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