宝塚記念
2019/6/23 阪神競馬場 芝2200m

レース展望

過去10年で1番人気は[2−3−2−3]で5連対。4、5歳馬が休み明けでなければ[2−2−1−1]で14年のキタサンブラック9着を除き3着以内を確保。単勝1倍台は[0−1−1−2]で未勝利。2番人気は[2−1−1−6]で3連対、3番人気は[1−1−2−6]で2連対。6〜9番人気が6連対、10番人気以下が2連対。最近5年の連対馬10頭のうち6頭が6番人気以下で馬連は89倍、129倍、24倍、52倍、92倍。G1実績馬が揃うが、かなり波乱傾向が強い。

連対馬11頭にG1勝ち、3頭にG1−2着、6頭にG2勝ちがあった。天皇賞(春)組を除くと連対馬13頭のうち11頭が前走4着以内。前走重賞4着以内のG1、G2実績馬に注目。前走天皇賞(春)は7、7、10、11着から巻き返しており着順不問。年齢別では4歳[3−2−6−36]、5歳[6−4−4−31]、6歳[1−3−0−21]、7歳以上[0−1−0−27]で5歳馬が活躍。牝馬は[1−3−4−11]で1、1、8、10番人気が連対。人気薄も激走している。

最近の重賞はルメール、Mデムーロ、レーン騎手が騎乗した馬、ノーザンファーム生産馬、外厩のノーザンファームしがらき、ノーザンファーム天栄で調整された馬が人気で結果を出す傾向が強い。ルメール騎手はレイデオロ、Mデムーロ騎手はスワーヴリチャード、レーン騎手はリスグラシュー。ノーザンファーム生産馬はアルアイン、エタリオウ、スワーヴリチャード、マカヒキ、リスグラシュー、レイデオロ。ノーザンファームしがらきはアルアイン、エタリオウ、スワーヴリチャード、リスグラシュー、ノーザンファーム天栄はレイデオロ。

キセキは昨年秋以降、3、3、2、5、2着で5着以内を確保。ジャパンCでは逃げて2分20秒9で走り、アーモンドアイに0.3秒差の2着に粘った。前走大阪杯は2番手からメンバー7位の35.4秒で抜け出したが、内からアルアインに交わされてクビ差の2着。タフな流れでもしぶとい脚を使えるタイプ。川田騎手は前半5F61.3秒のスローペースに同調し2番手に控えた。非社台の馬が勝ってはいけない闇のルールでもあるのか。阪神芝は[1−2−2−1]。昨年の宝塚記念は追い込んで8着に終わったが、当時とは脚質が違う。川田騎手では[0−2−3−1]でまだ勝っていない。勝てば角居厩舎は凱旋門賞2頭出しになりそうだ。

レイデオロは昨秋オールカマー1着、天皇賞(秋)1着、有馬記念2着。オールカマー、天皇賞(秋)で負かしたアルアインは大阪杯を制した。有馬記念は9番手からメンバー最速タイの35.4秒で伸びてクビ差の2着。勝負どころのズブさは緩い馬場が影響したか。前走ドバイシーマクラシックは途中から掛かってハナを切り、直線で失速して6着。昨年のドバイシーマクラシックでも4着に終わっており、海外遠征はひと息か。過去10年で前走海外は[0−3−1−12]、前走ドバイシーマクラシックは[0−1−1−5]で1番人気のドゥラメンテは2着、ジェンティルドンナは3着。過去10年の宝塚記念でルメール騎手は[0−0−0−4]。

大阪杯勝ち馬アルアイン、前走クイーンエリザベス2世C3着のリスグラシュー、前走ドバイシーマクラシック3着のスワーヴリチャード、昨年の菊花賞2着馬エタリオウ、前走大阪杯4着のマカヒキ、昨年の天皇賞(春)3着馬クリンチャーなど。出走馬12頭のうち6頭がG1馬。勝ってもおかしくない馬が多い。時期的に雨が降りやすく、過去10年のうち4年が稍重だった。稍重で行われた昨年は人気馬が全滅し、7−10−12番人気で3連単49万馬券が飛び出した。阪神は土曜、日曜とも曇り一時雨の予報。今年も馬場は渋りそうだ。

アルアインは前走大阪杯を内ラチ沿いの4番手からメンバー4位タイの35.2秒で抜け出して2分1秒0で優勝。スローペース、時計&上がりが掛かる緩い馬場、ロスなく回れる内枠と全てが上手く噛み合った。阪神芝は[3−0−1−0]、芝2200mは[0−3−0−0]。前走のようなレースができれば。リスグラシューは昨秋以降外国人騎手が騎乗し[1−3−1−0]でエリザベス女王杯を制覇。香港ヴァーズは2着、クイーンエリザベス2世Cは3着に入った。阪神芝は[1−2−3−0]。テン乗りのレーン騎手が騎乗する。

スワーヴリチャードは昨年大阪杯を勝った後、3、10、3、4、3着。昨年のジャパンCでは2着キセキに3馬身半差をつけられた。前走ドバイシーマクラシックは2着シュヴァルグランに半馬身差の3着。ドバイ遠征明け、58キロを克服して再浮上できるか。エタリオウは重賞[0−4−0−2]。昨年の菊花賞はフィエールマンにハナ差の2着。前走天皇賞(春)は離れた最後方からメンバー3位タイの35.2秒で伸びて4着。過去10年の宝塚記念でステイゴールド産駒は[5−0−0−9]。テン乗りの横山典騎手が騎乗する。


レース回顧

2019年 6月23日(日) 3回阪神8日  天候: 曇   馬場状態: 良 
11R  第60回宝塚記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定)  芝 2200m・内   12頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 8 12  リスグラシュー     牝 5 レーン    56  2.10.8 35.2  3 460 (栗)矢作芳人
2 1  1  キセキ             牡 5 川田将雅  58  2.11.3 35.8  1 506 (栗)角居勝彦
3 8 11  スワーヴリチャード 牡 5 M.デム  58  2.11.6 35.7  6 524 (栗)庄野靖志
4 4  4  アルアイン         牡 5 北村友一  58  2.11.9 36.1  5 520 (栗)池江泰寿
5 2  2  レイデオロ         牡 5 ルメール  58  2.12.1 36.0  2 482 (美)藤沢和雄
6 7 10  ノーブルマーズ     牡 6 高倉稜    58  2.12.4 36.0 10 498 (栗)宮本博
7 5  6  スティッフェリオ   牡 5 丸山元気  58  2.12.4 36.3  8 442 (栗)音無秀孝
8 7  9  クリンチャー       牡 5 三浦皇成  58  2.12.5 36.4  9 496 (栗)宮本博
9 3  3  エタリオウ         牡 4 横山典弘  58  2.12.6 36.4  4 474 (栗)友道康夫
10 6  8  ショウナンバッハ   牡 8 吉田豊    58  2.12.6 35.9 11 458 (美)上原博之
11 6  7  マカヒキ           牡 6 岩田康誠  58  2.12.9 36.3  7 508 (栗)友道康夫
12 5  5  タツゴウゲキ       牡 7 秋山真一  58  2.13.9 37.5 12 496 (栗)鮫島一歩
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LAP :12.6-11.4-11.5-12.4-12.1-11.9-12.0-11.6-11.5-11.4-12.4
通過:35.5-47.9-60.0-71.9  上り:70.8-58.9-46.9-35.3  平均:1F:11.89 / 3F:35.67
単勝   12 \540 
複勝   12 \180 / 1 \140 / 11 \260 
枠連   1-8 \620 (1) 
馬連   01-12 \970 (2) 
ワイド 01-12 \340 (2)/ 11-12 \760 (13)/ 01-11 \630 (7) 
馬単   12-01 \2210 (6) 
3連複 01-11-12 \2720 (9/220) 
3連単 12-01-11 \14560 (46/1320) 

リスグラシューは大外枠からスタートを決めて2番手につけ、メンバー最速の35.2秒で抜け出して3馬身差でレースを制した。勝ちタイム2分10秒6は優秀。キセキが逃げて前半5F60.0秒、後半5F58.9秒。緩い流れで前に行った馬が1〜4着を独占したが、道中緩急のある流れになり、スタミナ&地力が問われるレースになった。リスグラシューはこれまで控えて差すレースをしていたが、レーン騎手がスタートを決めて2番手につけ、メンバー最速上がりでキセキを子供扱いし3馬身差で圧勝。得意の阪神、緩い馬場と条件が揃っていたが、これまでにないレースで一気にパフォーマンスを引き上げた。これで昨年秋から外国人騎手が騎乗してから[2−3−1−0]でG1を2勝。2歳時から活躍していた牝馬。奥手のハーツクライ産駒が完全に本格化した。これで過去10年で8枠が7勝となった。社台の使い分けもあり、秋はコックスプレート(豪G1、芝2040m)、ブリーダーズCターフ(米G1、芝2400m)のどちらかに向かうことになりそうだ。今年の重賞でレーン騎手は[6−0−1−6]で勝率46%、単勝回収率340%、複勝回収率110%。短期免許で重賞6勝は新記録となった。

キセキはハナを切ってマイペースで進め、メンバー3位の35.8秒で上がって0.5秒差の2着。2番手につけたリスグラシューに直線で交わされて3馬身差をつけられ完敗。スタートが遅く押してハナを切ったこともあるが、やはり直線に坂があるコースだと詰めが甘くなる。阪神では[1−3−2−1]で勝ったのは新馬戦のみ。中山では[0−0−0−2]。これで昨年秋以降のG1では3、2、5、2、2着でローテーションが厳しかった有馬記念5着を除き3着以内を確保している。今後は同厩のロジャーバローズと一緒に凱旋門賞に挑戦することになった。2頭でフランスに遠征し、前哨戦を使って凱旋門賞に向かうことになりそうだ。

スワーヴリチャードは4番手からメンバー2位の35.7秒で上がって0.8秒差の3着。2着キセキとは2馬身差。逃げたキセキはラスト2F11.4−12.9秒でラスト1Fが1.5秒落ちたが、スワーヴリチャードはキセキの上がりを0.1秒しか上回れず、最後はジリジリだった。昨年のジャパンC3着のときも最後はジリジリ。スローペースにならないと最後は詰めが甘くなる傾向がある。これまで5勝しているが、前半5Fは全て60.4秒以上の緩い流れだった。流れが緩み、かつ極端な上がり勝負にならないと一変する可能性がある。

アルアインは3番手からメンバー7位の36.1秒で上がって1.1秒差の4着。大阪杯と同様に内をロスなく回って先行したが、直線で前の2頭に離され、ジリジリとしか伸びなかった。大阪杯はスローペース、時計&上がりが掛かる緩い馬場、ロスなく回れる内枠と全てが上手く噛み合って勝ったが、今回直線で伸び切れなかったのは、距離1F延長が良くなかったのだろう。2番手につけたリスグラシューに最速上がりで突き放されたように力負け。大阪杯から直行したが、仕上がりは悪くなかった。

レイデオロは6番手の内から伸び切れず1.3秒差の5着。上がりはメンバー5位タイの36.0秒。この流れならもう少し前につけてしぶとい脚を使える馬だが、馬場の内側が緩くそれが影響した模様。いつもよりパドックで煩かったようにドバイ遠征明けで仕上がりもひと息だったか。前走ドバイシーマクラシックで掛かって逃げて惨敗したため、ルメール騎手が内で控えて攻め切れなかった面もあるのだろう。海外は[0−0−0−2]、関西では[1−0−1−1]、関東では[6−2−0−1]。秋は天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念が目標になるが、社台&ルメール騎手はアーモンドアイがいるため、リスグラシューと同様に使い分けする可能性が高そうだ。社台が強い馬を持ち過ぎているため、本来なら見れる対決が見れないのは非常に残念だ。



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