エリザベス女王杯
2018/11/11 京都競馬場 芝2200m

レース展望

3歳馬と古馬が争う女王決定戦。過去10年の1番人気は[1−4−2−2]で5連対。単勝1倍台は[0−2−1−0]、2倍台は[1−0−1−1]、3倍台は[0−2−0−2]。唯一勝ったのは外国馬スノーフェアリー。2番人気は[1−2−2−5]で3連対、3番人気は[2−0−1−7]で2連対。6〜9番人気が4連対、10番人気以下が3連対。G1実績馬が揃うが、人気薄の激走が多い。最近5年の馬連は27倍、9倍、18倍、137倍、80倍で荒れている。人気馬に人気薄を絡めて中穴以上を狙うのが妙味。

連対馬20頭のうち12頭にG1連対、4頭にG2またはG3勝ちがあった。牝馬の一線級が揃うため、G1実績馬を重視したい。これらがない4頭のうち3頭が渋った馬場、残る1頭が大逃げ(クィーンスプマンテ)だった。馬場が渋ったら道悪巧者に注意。年齢別では3歳[4−4−3−37]、4歳[4−3−6−42]、5歳[2−2−1−47]、6歳[0−1−0−11]、7歳以上[0−0−0−7]で3、4歳馬が活躍している。6歳馬は1連対、7歳以上は3着以内がない。6歳以上の高齢馬は不振が続いている。

モズカッチャンは昨年のエリザベス女王杯を好位から抜け出して2分14秒3で優勝。オークスは2着、秋華賞は3着に終わったが、古馬相手のエリザベス女王杯を制し、実力を示した。今年は牡馬を相手に京都記念4着、ドバイシーマクラシック6着、札幌記念3着に善戦している。前走札幌記念は離れた最後方からメンバー最速の36.0秒で追い込んでハナ+頭差の3着。勝ったサングレーザーは天皇賞(秋)で2着に入った。国内の芝2000m以上では[2−1−2−1]で4着以内を確保。外枠に入るとMデムーロ騎手の腕が問われる。

リスグラシューはG1[0−4−0−3]で阪神JF、桜花賞、秋華賞、ヴィクトリアマイルで2着。ヴィクトリアマイルはメンバー最速の32.9秒で伸びたがハナ差届かなかった。前走府中牝馬Sは出遅れて後方2番手からメンバー2位の32.6秒で抜け出したが、最後にディアドラに差されてクビ差の2着。ディアドラは2キロ重い56キロを背負っていたが、リスグラシューは休み明けで馬体が12キロ増えていた。成長力あるハーツクライ産駒で4歳秋を迎えてさらに力をつけている。鞍上はモレイラ騎手。1着しかいならい騎乗か。

前走紫苑Sを圧勝したノームコア、前走京都大賞典2着のレッドジェノヴァ、前走秋華賞3着のカンタービレ、前走府中牝馬S3着のフロンティアクイーン、昨年のエリザベス女王杯2着馬クロコスミア、昨年の京都大賞典勝ち馬スマートレイアー、京都牝馬S&阪神牝馬S勝ち馬ミスパンテール、昨年のヴィクトリアマイル勝ち馬アドマイヤリード、前走丹頂S2着のコルコバードなど伏兵は多士済々。京都は金曜に雨が降る予報が出ているが、土曜は晴れ、日曜は晴れ時々曇りで馬場は乾きそうだ。土曜の馬場傾向、枠順に注意したい。

ノームコアは紫苑Sを好タイムで圧勝したが、体調が整わず秋華賞を回避。これまで[3−0−2−0]で3着以内を確保。距離1F延長、初の京都が課題だが、前走好位から最速上がりを繰り出した走りはエリザベス女王杯にマッチする。鞍上は4週連続G1を勝っているルメール騎手。レッドジェノヴァは前走京都大賞典で後方からメンバー2位の34.3秒で伸びて0,1秒差の2着。条件戦を連勝した馬が重賞初挑戦、古馬混合G2で連対した。ここにきて急激に力をつけている。小島茂厩舎は09年にクイーンスプマンテで制している。


レース回顧

2018年11月11日(日) 5回京都4日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11R  第43回エリザベス女王杯
3歳以上・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定)  芝 2200m・外   17頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 6 12  リスグラシュー     牝 4 モレイラ  56  2.13.1 33.8  3 462 (栗)矢作芳人
2 5  9  クロコスミア       牝 5 岩田康誠  56  2.13.1 34.7  9 436 (栗)西浦勝一
3 4  7  モズカッチャン     牝 4 M.デム  56  2.13.6 34.7  1 490 (栗)鮫島一歩
4 3  5  レッドジェノヴァ   牝 4 池添謙一  56  2.13.6 34.5  4 492 (美)小島茂之
5 7 13  ノームコア         牝 3 ルメール  54  2.13.7 34.9  2 466 (美)萩原清
6 4  8  カンタービレ       牝 3 C.デム  54  2.13.7 34.7  5 434 (栗)中竹和也
7 1  2  フロンテアクイーン 牝 5 蛯名正義  56  2.13.7 34.7  7 476 (美)国枝栄
8 8 16  コルコバード       牝 5 浜中俊    56  2.13.8 34.5  6 458 (美)木村哲也
9 6 11  スマートレイアー   牝 8 武豊      56  2.13.9 34.2  8 478 (栗)大久保龍
10 5 10  ヴァフラーム       牝 6 川又賢治  56  2.13.9 34.3 14 492 (栗)吉村圭司
11 7 14  ワンブレスアウェイ 牝 5 津村明秀  56  2.14.0 34.2 13 486 (美)古賀慎明
12 8 17  ミスパンテール     牝 4 横山典弘  56  2.14.0 35.3 10 514 (栗)昆貢
13 2  3  レイホーロマンス   牝 5 福永祐一  56  2.14.1 34.7 12 426 (栗)橋田満
14 3  6  アドマイヤリード   牝 5 藤岡康太  56  2.14.1 34.5 11 432 (栗)須貝尚介
15 8 15  エテルナミノル     牝 5 四位洋文  56  2.14.3 34.8 15 464 (栗)本田優
16 1  1  ハッピーユニバンス 牝 6 松若風馬  56  2.14.9 35.0 17 470 (栗)平田修
17 2  4  プリメラアスール   牝 6 藤岡佑介  56  2.15.2 36.5 16 504 (栗)鈴木孝志
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LAP :12.3-11.2-12.9-12.7-12.3-12.5-12.5-12.0-11.6-11.4-11.7
通過:36.4-49.1-61.4-73.9  上り:71.7-59.2-46.7-34.7  平均:1F:12.10 / 3F:36.30
単勝   12 \470 
複勝   12 \170 / 9 \570 / 7 \150 
枠連   5-6 \7480 (20) 
馬連   09-12 \9800 (23) 
ワイド 09-12 \2630 (26)/ 07-12 \360 (1)/ 07-09 \1590 (17) 
馬単   12-09 \12450 (34) 
3連複 07-09-12 \8660 (27/680) 
3連単 12-09-07 \56370 (174/4080) 

リスグラシューはスタートを決めて中団につけ、メンバー最速の33.8秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは2分13秒1。クロコスミアが逃げて前半5F61.4秒のスローペース。ラスト4Fからペースアップして12.0−11.6−11.4−11.7秒。クロコスミアがラスト3Fを11秒台でまとめて粘り込んだが、最後にリスグラシューが末脚の威力で捻じ伏せた。G1で2着が4回あった馬が、テン乗りのモレイラ騎手が騎乗し、ようやくG1初制覇。これまでは出遅れるなどして後方からいい脚を使っても届かないレースが多かったが、さすがにモレイラ騎手、スタートを決めて届く位置でピタリと折り合いをつけた。2歳時から使われているが、奥手のハーツクライ産駒。ここにきて馬体が充実し本格化した。次走は未定だが、香港ヴァーズか有馬記念になりそうだ。

クロコスミアは前半5F61.4秒のスローペースで逃げ、勝負どころで後続を引き離しメンバー8位タイの34.7秒でまとめてクビ差の2着。9番人気で激走した。昨年2着に粘ったときと同様に直線入り口で後続を引き離したが、最後にリスグラシューに捕まった。昨年差されたモズカッチャンには3馬身先着している。3、4コーナーの坂の下りで脚をタメながら走る馬が多い中、そこでスパートして後続を引き離し、ラスト3Fを11秒台でまとめたのだから大したもの。メンバー8位タイの上がり34.7秒は3着モズカッチャンと同じ。昨年は4着ヴィブロスと同じ上がりだった。直線でトップギアに入るとそれを持続するタイプ。モロさもあるが、ゾーンに入ると強い。西浦厩舎はカワカミプリンセスでエリザベス女王杯1位降着。エリザベス女王杯に特別な思いがあるのだろう。

モズカッチャンは5番手の内からメンバー8位タイの34.7秒で伸びて0.5秒差の3着。昨年と同様に直線でクロコスミアを交わせばというレースになったが、伸び切れなかった。一頓挫あった影響なのか馬体が6キロ増えて太め残りだった。昨年から2キロ増の56キロも微妙に影響したのではないか。日曜京都は外国人騎手が11勝。Mデムーロ騎手は1勝もできず乗り遅れている。好不調の波が大きい点を考慮したい。

レッドジェノヴァは内ラチ沿いの中団からメンバー5位タイの34.5秒で伸びて0.5秒差の4着。内で狭くなって追い出しが遅れ、直線で外に出せず狭い内を走って伸び切れなかった。それでもG1初挑戦で4着なら今後のメドは立った。牝馬でも長い距離が得意なタイプ。今後はひと息入れ、来年は重賞制覇を目指すことになりそうだ。

ノームコアは外枠スタートから好位につけたが、直線で伸び切れず0.6秒差の5着。スローペースでラスト3Fの上がり勝負になったが、外枠から終始外々を回ったことが堪えた。京都に輸送して馬体10キロ増。紫苑Sの後にひと息入れたが、少し緩い仕上げだった。小回りコースで立ち回りの上手さを生かすタイプ。中山、福島コースで見直したい。



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