安田記念
2018/6/3 東京競馬場 芝1600m

レース展望

過去10年で1番人気は[4−1−0−5]で5連対。前走G1は[3−1−0−1]だが、前走G2は[0−0−0−4]で不振。単勝1倍台は[2−1−0−0]、単勝2倍以上は[2−0−0−5]で取りこぼす馬が多い。2番人気は[2−1−0−7]で3連対、3番人気は[0−2−2−6]で2連対。6〜9番人気は6連対、10番人気以下は2連対。過去10年で馬連10倍以下は1回のみ。万馬券が4回と多い。最近5年の馬連は14倍、187倍、17倍、32倍、104倍。人気馬に人気薄を絡めて中穴以上を狙うのが妙味。

前走京王杯SCは[2−3−2−34]で1、2、4、7、9着馬が5、3、2、13、7連対。5頭とも追い込みだった。ヴィクトリアマイルは[2−0−0−15]でウオッカの2勝のみ。ダービー卿CTは[2−0−0−4]でモーリス、ロゴタイプが優勝。マイラーズCは[0−1−7−34]で勝ち馬は[0−0−0−7]、2着馬は[0−0−0−6]。3着以下に負けた馬が3着に激走することが多い。外国馬は[0−1−0−17]で1連対のみ。5番人気以内では[0−1−0−3]。09年以降は[0−0−0−15]で不振。

スワーヴリチャードは[5−3−0−2]で共同通信杯、AR共和国杯、金鯱賞、大阪杯を優勝。右回りは[2−1−0−2]、左回りは[3−2−0−0]。前走大阪杯は右回りが懸念されたが、後方2番手から大外を捲って3コーナーで先頭に立ち、メンバー5位の34.1秒でまとめて1分58秒2で優勝。前半5F61.1秒のスローペースだったが、大外から捲って能力の違いを見せつけた。レースの後半5Fは全て11秒台で57.1秒。ちなみに過去3年の安田記念の後半5Fは57.7秒、58.0秒、57.6秒だった。

大阪杯では右回りを克服し、高速ラップの持続力を示した。大阪杯のラップを見て陣営は安田記念参戦を決めたのだろう。東京芝は[2−2−0−0]で共同通信杯、AR共和国杯を勝ち、東スポ杯2歳S、日本ダービーが2着。安田記念は1分31秒台の高速決着になることが多い。昨年は前半3F33.9秒、5F57.1秒で流れて後方からサトノアラジンがメンバー最速の33.5秒で大外一気を決めている。スワーヴリチャードは前半の流れと位置取りがポイント。Mデムーロ騎手が「予想の壁」を超える騎乗をするかもしれない。

ペルシアンナイトは[4−3−1−3]だが、休み明けを除き、芝2000m以下、良&稍重なら[4−3−0−0]でアーリントC、マイルCSを勝ち、皐月賞、大阪杯2着がある。昨年のマイルCSは後方からメンバー2位の33.9秒で差し切って優勝。直線でかなり厳しい位置にいたが、Mデムーロ騎手が馬群に突っ込んで持ってきた。ちなみに1986年以降3歳でマイルCSを制した馬はサッカーボーイ、タイキシャトル、アグネスデジタル。タイキシャトルは翌年の安田記念、アグネスデジタルは3年後の安田記念を制している。

前走大阪杯は中団から直線で馬群を捌いてメンバー最速タイの33.7秒で伸びて0.1秒差の2着。流れが緩んで1コーナーから向こう正面にかけて頭を上げて行きたがり折り合いを欠いていた(福永騎手)。そこがスムーズならスワーヴリチャードと際どいレースになったのではないか。スワーヴリチャードの上がりを0.4秒上回っている。芝1600mは[3−0−1−1]で昨年のマイルCSは稍重で1分33秒8だった。1分31秒台の高速決着に対応できるかがカギ。昨年サトノアラジンで大外一気を決めた川田騎手に乗り替わる。

前走マイラーズCを勝ったサングレーザー、前走ヴィクトリアマイル2着のリスグラシュー、同4着のアエロリット、前走京王杯SC2着のキャンベルジュニア、同3着のサトノアレス、前走ドバイDF3着のリアルスティール、昨年の安田記念3着馬レッドファルクス、前走ダービー卿CTを勝ったヒーズインラブ、安土城S2着から連闘できたモズアスコットなど。東京は金曜が晴れ、土曜と日曜が晴れ時々曇りの予報。先週からCコースに変更された。先週は前に行って早めに仕掛けた馬が惰性で粘り込みやすい状態だった。今週はどうなるか。

サングレーザーは昨年4連勝でスワンSを勝ち、マイルCSは0.1秒差の3着、阪神カップは0.2秒差の3着。前走マイラーズCは中団からメンバー最速の33.2秒で差し切って1分31秒3のレコードで優勝。昨年3歳でマイルCSで3着に入ったのはダテではないことを示した。初の東京、1戦しか経験のない左回り、初の58キロなど課題はあるが、高速決着に対応でき、速い上がりを繰り出せる。福永騎手では[3−0−2−0]。日本ダービーを制した勢いで今週も勝てる位置につけられれば、2週連続G1制覇があるかもしれない。

リスグラシューは芝1600m[2−4−2−0]、東京芝1600mは[2−1−0−0]でアルテミスS、東京新聞杯を勝っている。前走ヴィクトリアマイルは後方からメンバー最速の32.9秒で伸びてハナ差の2着。直線で追い出しを待たされたことが堪えた。走破タイムは1分32秒3(稍重)。牡馬の一線級を相手にどこまでやれるか。アエロリットは芝1600m[1−3−0−2]、東京芝1600mは[1−1−0−1]でNHKマイルCを1分32秒3で勝っている。前走ヴィクトリアマイルは2番手から粘って0.1秒差の4着。稍重の馬場、左前脚の落鉄、上がり勝負が影響している。叩き2戦目、パンパンの良馬場でどこまで変わるか。

サトノアレスは芝1600m[2−2−0−1]で朝日杯FSを優勝。東京新聞杯はリスグラシューに0.2秒差の2着。前走京王杯SCはメンバー2位の32.7秒で追い込んで3着。良馬場の東京での上がりは1、1、1、2位。蛯名騎手が届く位置で進められるかがカギ。リアルスティールはG1[1−3−1−4]で16年のドバイDFを優勝。16年の安田記念はスローペースで折り合いを欠いて11着。昨年の毎日王冠ではサトノアラジンに勝っている。モズアスコットは回避馬が出たため、急遽連闘で出走。マイラーズCでは先行してサングレーザーに0.2秒差の2着。脚質に幅を広げた。[2−2−0−0]のルメール騎手がどう乗るか。


レース回顧

2018年 6月 3日(日) 3回東京2日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11R  第68回安田記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定)  芝 1600m   16頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 5 10 $モズアスコット     牡 4 ルメール  58  1.31.3 33.3  9 482 (栗)矢作芳人
2 2  4  アエロリット       牝 4 戸崎圭太  56  1.31.3 34.0  5 502 (美)菊沢隆徳
3 1  1  スワーヴリチャード 牡 4 M.デム  58  1.31.4 33.9  1 506 (栗)庄野靖志
4 1  2  サトノアレス       牡 4 蛯名正義  58  1.31.5 33.3  7 514 (美)藤沢和雄
5 8 15  サングレーザー     牡 4 福永祐一  58  1.31.5 33.7  3 486 (栗)浅見秀一
6 3  5  ペルシアンナイト   牡 4 川田将雅  58  1.31.7 34.0  2 490 (栗)池江泰寿
7 8 16  ウインガニオン     牡 6 津村明秀  58  1.32.0 35.2 14 492 (栗)西園正都
8 7 14  リスグラシュー     牝 4 武豊      56  1.32.1 34.2  6 448 (栗)矢作芳人
9 5  9  レッドファルクス   牡 7 田辺裕信  58  1.32.1 33.7  8 480 (美)尾関知人
10 4  7 $ウエスタンエクスプ セ 6 クリッパ  58  1.32.3 34.8 11 550 [外]サイズ
11 4  8 $キャンベルジュニア 牡 6 石橋脩    58  1.32.4 35.0 10 540 (美)堀宣行
12 3  6  レーヌミノル       牝 4 和田竜二  56  1.32.5 35.3 15 480 (栗)本田優
13 6 12  ヒーズインラブ     牡 5 藤岡康太  58  1.32.7 34.7 12 524 (栗)藤岡健一
14 2  3 $ダッシングブレイズ 牡 6 北村宏司  58  1.32.7 34.9 16 500 (栗)吉村圭司
15 6 11  リアルスティール   牡 6 岩田康誠  58  1.32.7 34.8  4 514 (栗)矢作芳人
16 7 13  ブラックムーン     牡 6 秋山真一  58  1.32.8 34.1 13 496 (栗)西浦勝一
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LAP :12.2-10.8-11.2-11.3-11.3-11.4-11.4-11.7
通過:34.2-45.5-56.8-68.2  上り:68.3-57.1-45.8-34.5  平均:1F:11.41 / 3F:34.24
単勝   10 \1570 
複勝   10 \410 / 4 \290 / 1 \160 
枠連   2-5 \4170 (21) 
馬連   04-10 \7370 (31) 
ワイド 04-10 \2100 (30)/ 01-10 \1020 (11)/ 01-04 \680 (4) 
馬単   10-04 \15290 (62) 
3連複 01-04-10 \6560 (19/560) 
3連単 10-04-01 \63280 (218/3360) 

モズアスコットは中団の後ろを進み、直線で馬群を捌いてメンバー最速タイの33.3秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイム1分31秒3はレコードと同タイム。ウインガニオンが逃げて前半3F34.2秒、5F56.8秒の速い流れ。最後まで11秒台のラップが続き、スピードと上がりの速さが問われるレースになった。モズアスコットは道中ロスなく回り、直線でスワーヴリチャードが抜け出した後にできたスペースを突いて伸びてきた。ルメール騎手の好判断が勝利をもたらした。除外対象だった馬が藤沢和厩舎の3頭の回避によって急遽連闘で出走し、重賞初制覇がG1制覇。しかもレコードと同タイムなのだから大したもの。昨年9月に500万条件を勝ったときに相馬眼ニュースで取り上げた馬がG1を制した。2走前のマイラーズCで前半5F57.2秒のハイペースで先行して2着に粘ったが、こういうタフなレースを経験すると心肺機能が強化され、馬は強くなるのだろう。矢作厩舎はスーパーホーネット、グランプリボスで安田記念2着3回(6、13、16番人気)。9番人気のモズアスコットでようやく安田記念を制した。今後は休養して秋はマイルCSが目標になりそうだ。スピードがあるため、スプリンターズSを使う可能性もある。

アエロリットは2枠4番スタートから内ラチ沿いの3番手につけ、メンバー6位タイの34.0秒で抜け出してクビ差の2着。大外枠からウインガニオンが勢いをつけてハナを切ったため、逃げずに内ラチ沿いをロスなく回り、タイミングよくスパートして粘り込んだ。レースのラスト5Fは57.1秒でラップは11.3−11.3−11.4−11.4−11.7秒。このラップでタイム差なしの2着に粘ったのは立派。前走ヴィクトリマイルは休み明け、稍重の馬場、左前脚の落鉄、上がり勝負が影響して0.1秒差の4着に終わったが、叩き2戦目、パンパンの良馬場でパフォーマンスを引き上げた。昨年のNHKマイルCを2番手から抜け出して1分32秒3の好タイムで勝った馬。1年経ってさらに地力が強化され、強くなっている。これで牡馬混合G2以上では[1−2−0−0]。ルージュバックもそうだったが、タフなレースになる牡馬相手の方が力を発揮しやすいのだろう。今後は休養して秋に備える予定。現時点ではマイルの方が確実だが、毎日王冠から天皇賞(秋)を使う手もありそうだ。

スワーヴリチャードは5番手からメンバー5位の33.9秒で抜け出しかけたが、最後に脚色が鈍って0.1秒差の3着。直線で外に行った後に内に行くロスが響いた。外にいたサングレーザーに併せに行ったら、内のアエロリットの方がしぶとく、再度内に併せに行ったというのが正解か。単に直線で苦しがってヨレた感もある。これまで経験のないハイペースで好位につけたぶんいつもほど切れる脚を使えなかったが、初マイルで1分31秒4で走って3着なら悲観する内容ではない。レース慣れすればもっと走れそうだ。馬体が10キロ減っていつもより細めの造りだった。Mデムーロ騎手は夏バテがあったのかもしれないとコメントしている。今後は休養して秋は天皇賞(秋)で復帰し、ジャパンCが最大目標になる。

サトノアレスは後方3番手からメンバー最速タイの33.3秒で大外から追い込んで0.2秒差の4着。直線で差し切る勢いで伸びてきたが、ラスト100mで脚色が鈍った。勝ったモズアスコットと同じ最速上がりを繰り出したが、モズアスコットは内をロスなく回って内から捌いてきた。0.2秒差はそのぶんなのだろう。2歳時に朝日杯FSを勝った馬が古馬G1で通用することを示し、早熟ではないことを証明した。今後は仏G1のジャックルマロワ賞(直線芝1600m)に使うプランがあるようだ。藤沢和厩舎はタイキシャトルでジャックルマロワ賞を制している。

サングレーザーは8枠15番スタートから7番手につけ、メンバー3位タイの33.7秒で上がって0.2秒差の5着。直線で一瞬見せ場を作ったが、ラスト1Fを過ぎたところで脚色が鈍った。初の東京、初の58キロで1分31秒5で走って0.2秒差の5着なら悪くない。前週のダービーを勝った福永騎手が勝てる位置につけたぶんいつもほど切れる脚を使えなかったが、現時点の力は出している。マイラーズC勝ち馬は安田記念で不振が続いている。今後は休養して秋はスワンSからマイルCSを目指すことになりそうだ。

ペルシアンナイトは7番手につけたが、直線で前が壁になって追い出しが遅れ、ラスト1Fから追い出してメンバー6位タイの34.0秒で伸びて0.4秒差の6着。直線でスペースを確保できず、かなり脚を余している。まともなら勝ったとは言わないが、上位争いできたのではないか。参考外の一戦。



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