日本ダービー
2018/5/27 東京競馬場 芝2400m

レース展望

過去10年で1番人気は[4−1−2−3]で5連対。皐月賞は[2−1−2−1]、青葉賞馬は[0−0−1−1]、それ以外は[2−0−0−0]。単勝1倍台は[1−0−0−0]、単勝2.0〜2.5倍は[0−0−1−2]、単勝2.6倍以上は[3−1−2−0]。2番人気は[2−1−0−7]で3連対、3番人気は[3−2−1−4]で5連対。連対馬17頭が5番人気以内、残る3頭は7、10、12番人気。08、10年に馬連万馬券が出たが、最近6年は5番人気以内で決着し、馬連は56倍、9倍、8倍、19倍、7倍、16倍で中穴までに収まっている。人気馬の組み合わせで中穴を狙うのが妙味。

連対馬13頭が前走3着以内。前走4着以下から連対した7頭は前走皐月賞だった。前走皐月賞なら巻き返し可能。前走G2で負けた馬は[0−0−2−28]、前走OP特別は[0−0−1−12]で3着止まり。前走青葉賞は[0−2−3−22]、勝ち馬は[0−2−1−7]で2着はウインバリアシオン、 フェノーメノ(ハナ差)。青葉賞勝ち馬がダービーを勝ったことはない。前走京都新聞杯は[1−1−1−18]、勝ち馬は[1−1−1−5]でキズナが勝ち、サトノラーゼンが2着、トーセンホマレボシが3着に入っている。プリンシパルSは[0−0−1−10]で3着止まり。ほとんど狙えない。

過去10年の連対馬には全て重賞勝ちがあった。最近は皐月賞で負けた馬の巻き返しが目立つ。皐月賞はトリッキーなコースで紛れが生じやすい。穴で前走皐月賞で負けた芝中距離重賞勝ち馬に注意。昨年は皐月賞で5、6着に負けたレイデオロ、スワーヴリチャードがワンツーを決めた。過去10年で1枠1番に入った馬は[4−2−1−3]、5番人気以内なら[3−1−1−0]で複勝率100%。今年は皐月賞を回避した2歳王者ダノンプレミアムが1枠1番に入った。ディープスカイ、キズナが1枠1番から1番人気で制している。1枠1番を引き当てたダノンプレミアムを負かす馬がいるのか焦点になりそうだ。

ダノンプレミアムは新馬、サウジアラビアRC、朝日杯FS、弥生賞を4連勝。上がりはメンバー2、6、1、3位。前に行って速い上がりを繰り出している。前走弥生賞は2番手からメンバー3位の34.1秒で抜け出して2分1秒0で快勝。直線で鞭を入れておらず、最後は流す余裕があった。皐月賞は単勝1倍台の断然人気が予想されたが、右前脚の挫跖で回避。その後は4月後半から乗り込んで1週前は栗CWで6F79秒台を出している。1986年以降の日本ダービーで中9週以上の間隔が空いた馬は[1−0−0−12]ですみれSから直行したフサイチコンコルド(7人気)が3戦3勝で制している。歴史は繰り返すか。

弥生賞4着のサンリヴァルが皐月賞で2着、サウジアラビアRC&朝日杯FS2着のステルヴィオがスプリングSを勝ち、皐月賞で4着。能力的にまともに走れば、皐月賞組が相手でも何ら問題はない。過去10年で[4−2−1−3]の1枠1番を引き当てた。川田騎手は先週のオークスでも1枠1番(リリーノーブル2着)に入ってる。1枠1番からロスなく回って先行し、直線で抜け出して他馬を圧倒するのだろうか。川田騎手は16年の日本ダービーをマカヒキ(3人気)で制している。今の東京は高速ラップの持続力が問われる。休み明けだけにスタミナが問われるタフなレースになったときに真価が問われそうだ。

ブラストワンピースは新馬、ゆりかもめ賞、毎日杯を3連勝。東京芝2400mのゆりかもめ賞は後方からメンバー最速の34.0秒で差し切って4馬身差で圧勝。勝ちタイムは2分27秒6(稍重)。前走毎日杯は1枠1番から内ラチ沿いの2、3番手につけ、直線で最内からメンバー2位の33.9秒で抜け出して2馬身差で圧勝。勝ちタイムは1分46秒5。2着ギベオンはNHKマイルCで2着に入った。シルクレーシングで2000万円で募集されたハービンジャー産駒。早い時期に東京芝2400mで勝っているのは強み。池添騎手は11年の日本ダービーをオルフェーヴルで制している。無敗のダービー馬誕生なるか。

前走皐月賞を勝ったエポカドーロ、同2着のサンリヴァル、同3着のジェネラーレウーノ、同4着のステルヴィオ、同5着キタノコマンドール、前走青葉賞を勝ったゴーフォザサミット、同2着のエタリオウ、前走京都新聞杯を勝ったステイフーリッシュ、同2着のアドマイヤアルバ、前走プリンシパルSを勝ったコズミックフォース、ホープフルS勝ち馬タイムフライヤー、同2着馬ジャンダルム、東スポ杯2歳S勝ち馬ワグネリアン、京都2歳S勝ち馬グレイル、共同通信杯勝ち馬オウケンムーンなど。週末は土日とも晴れ時々曇りで雨は降らない予報。パンパンの良馬場で流れ次第で高速決着になりそうだ。

エポカドーロは皐月賞を離れた4番手からメンバー4位の35.1秒で抜け出して2馬身差で圧勝。実質は緩い流れになったが、有力馬が後方に控えたこともあり、好位から上手くなだれ込めた。末脚に持続力があり前に行ってバテないタイプ。芝2400mをどう克服するかがカギ。過去10年で前走皐月賞を勝った馬は1番人気なら[2−1−2−1]だが、2番人気以下は[0−0−0−3]で不振。サンリヴァルは皐月賞で5番手からしぶとく伸びて0.3秒差の2着。エポカドーロと同様に上手くなだれ込んだ。切れる脚がない訳ではないが、時計、上がりの速い馬場と大外18番枠の克服がカギになる。

ジェネラーレウーノは皐月賞で2番手からしぶとく粘って0.6秒差の3着。厳しい流れで前に行って踏ん張り馬券圏内を確保した。逃げまたは2番手から粘っているが、東京の未勝利戦の走りから単なる前に行って粘り込む地力タイプではない可能性がある。ステルヴィオは皐月賞で後方からメンバー最速タイの34.8秒で追い込んで0.6秒差の4着。4番手以下が離れた展開で隊列が縦長になり位置取りが後ろ過ぎた。オークスではラッキーライラックに負け続けていたリリーノーブルが逆転。サウジアラビアRCと朝日杯FSでダノンプレミアムの2着。距離延長がカギになるが、ルメール騎手が外枠から持ってくるか。

キタノコマンドールは新馬、すみれSを連勝し、前走皐月賞で最後方からメンバー最速タイの34.8秒で追い込んで0.6差の5着。向こう正面で最後方まで下がり、4コーナーでは寄られて大外をブン回すロスがあった。中山に輸送して馬体12キロ増も堪えたか。全姉デニムアンドルビーはジャパンC2着馬。これまでの走り、体型的に距離延長、左回りでパフォーマンスアップする可能性がある。鞍上はMデムーロ騎手。ゴーフォザサミットは青葉賞を7番手からメンバー2位の34.1秒で差し切って2馬身差で圧勝。勝ちタイムは2分24秒4。藤沢和調教師は2連覇が懸かる。ダービーを連覇した調教師はいない。


レース回顧

2018年 5月27日(日) 2回東京12日  天候: 晴   馬場状態: 良 
10R  第85回東京優駿
3歳・オープン・G1(定量) (牡・牝)(国際)(指定)  芝 2400m   18頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 8 17  ワグネリアン       牡 3 福永祐一  57  2.23.6 34.3  5 450 (栗)友道康夫
2 6 12  エポカドーロ       牡 3 戸崎圭太  57  2.23.7 34.7  4 490 (栗)藤原英昭
3 4  7  コズミックフォース 牡 3 石橋脩    57  2.23.8 34.7 16 464 (美)国枝栄
4 7 14  エタリオウ         牡 3 ボウマン  57  2.23.8 33.5 13 454 (栗)友道康夫
5 4  8  ブラストワンピース 牡 3 池添謙一  57  2.23.8 34.5  2 532 (美)大竹正博
6 1  1  ダノンプレミアム   牡 3 川田将雅  57  2.23.8 34.6  1 498 (栗)中内田充
7 3  6  ゴーフォザサミット 牡 3 蛯名正義  57  2.24.0 34.5  7 496 (美)藤沢和雄
8 7 15  ステルヴィオ       牡 3 ルメール  57  2.24.0 33.9  6 462 (美)木村哲也
9 2  4  アドマイヤアルバ   牡 3 丸山元気  57  2.24.1 33.4 17 472 (栗)須貝尚介
10 5 10  ステイフーリッシュ 牡 3 横山典弘  57  2.24.2 34.3 10 452 (栗)矢作芳人
11 1  2  タイムフライヤー   牡 3 内田博幸  57  2.24.4 34.7 14 450 (栗)松田国英
12 3  5  キタノコマンドール 牡 3 M.デム  57  2.24.4 34.0  3 490 (栗)池江泰寿
13 8 18  サンリヴァル       牡 3 浜中俊    57  2.24.5 34.9 12 494 (栗)藤岡健一
14 7 13  グレイル           牡 3 岩田康誠  57  2.24.6 34.2  9 486 (栗)野中賢二
15 5  9  オウケンムーン     牡 3 北村宏司  57  2.25.0 34.9 15 448 (美)国枝栄
16 8 16  ジェネラーレウーノ 牡 3 田辺裕信  57  2.25.3 36.2  8 498 (美)矢野英一
17 6 11 $ジャンダルム       牡 3 武豊      57  2.25.4 35.3 11 488 (栗)池江泰寿
18 2  3  テーオーエナジー   牡 3 藤岡康太  57  2.26.2 36.7 18 504 (栗)宮徹
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LAP :12.7-11.0-12.3-12.4-12.4-12.3-12.2-12.0-11.7-11.2-11.2-12.2
通過:36.0-48.4-60.8-73.1  上り:70.5-58.3-46.3-34.6  平均:1F:11.97 / 3F:35.90
単勝   17 \1250 
複勝   17 \410 / 12 \390 / 7 \3640 
枠連   6-8 \3190 (14) 
馬連   12-17 \7950 (23) 
ワイド 12-17 \2710 (28)/ 07-17 \34420 (113)/ 07-12 \30290 (108) 
馬単   17-12 \15520 (49) 
3連複 07-12-17 \521600 (453/816) 
3連単 17-12-07 \2856300 (2229/4896) 

ワグネリアンは8枠17番スタートから5番手につけ、メンバー6位タイの34.3秒で激しい叩き合いを制した。勝ちタイムは2分23秒6。エポカドーロが逃げて前半3F36.0秒、5F60.8秒のスローペースになり、5番手以内につけた3頭で決着。後半5Fは58.3秒、上がりは34.6秒。この日の東京は前残り傾向が強く、前に行って早めに仕掛けた馬が惰性で粘り込みやすい馬場状態だった。レースのラスト4Fは11.7−11.2−11.2−12.2秒でラストが1.0秒落ちたが、33秒台の末脚を繰り出して5着以内に入ったのはエタリオウ(2位の33.5秒)しかいなかった。ワグネリアンは福永騎手が外枠から好位につけたことがかなり大きかった。この日の馬場を考えると前走のように控えていたら着外に終わった可能性が高い。勝負どころでブラストワンピース、ダノンプレミアムに外に出させないように外からマークしたことも勝利につながったのだろう。前週のオークスのアーモンドアイに続き相馬眼ニュースで取り上げた馬がG1を制した。今後は菊花賞は使わず、秋は天皇賞(秋)、ジャパンCが目標になりそうだ。今回は恵まれた勝利でレースレベルは高くない。古馬と対等に戦うには、馬体が成長しもっとパワーアップする必要がある。

エポカドーロは前半5F60.8秒のスローペースで逃げ、後半5Fを58.4秒でまとめて半馬身差の2着。上がりは11位タイの34.7秒でラスト1Fが12.3秒。前に行って早めに仕掛けた馬が惰性で粘り込みやすい馬場状態をフルに生かして粘り込んだ。同日の青嵐賞(1000万)の勝ちタイムは2分22秒9でダービーより0.7秒速い。昨年のダービーは青嵐賞より3.1秒遅かったため、昨年よりはマシだが、特殊馬場とスローペースで紛れが大きかった。父はオルフェーヴル、母は短距離馬ダイワパッション。距離2400mをこなしたことはオルフェーヴルの評価につながりそうだ。秋は菊花賞を目指す予定。

コズミックフォースは4番手から徐々に進出して2番手に押し上げ、メンバー11位タイの34.7秒で伸びて2着にクビ差の3着。16番人気で大波乱を演出した。この日の馬場傾向を考慮して石橋脩騎手が前につけたこと大きかった。石橋脩騎手は青葉賞でエタリオウ(7人気)2着、京王杯SCでキャンベルジュニア(7人気)2着など、馬場、展開に合った乗り方で人気薄を持ってきている。コズミックフォースはプリンシパルSを正攻法のレースで1分58秒2で勝ったことがダテではないことを示した。秋はセントライト記念から菊花賞に向かうことになりそうだ。

エタリオウは出遅れて後方2番手からメンバー2位の33.5秒で追い込んで0.2秒差の4着。青葉賞では先行して2着に粘ったが、今回は追い込んで見せ場十分の4着。9Rのアップクォーク(最速32.8秒)といいボウマン騎手が騎乗するとガツンと伸びる馬が多い。日本人騎手とは騎乗技術のレベルが違うのだろう。日本に慣れるとルメール、Mデムーロ騎手より上かもしれない。ステイゴールド産駒でスタミナとしぶとさを兼ね備えた馬。使い込んでいる点が気になるが、夏に休養してどこまで馬体が成長してくるか。本格化すれば菊花賞で面白い存在になる。

ブラストワンピースは出遅れたがすぐにカバーして道中は馬込み5番手前後を進み、メンバー8位タイの34.5秒で伸びて0.2秒差の5着。4コーナーから直線で前にいたジェネラーレウーノが下がってきたことで外に切り替えるロスがあり、そこで減速して前と離されたことが響いた。大型馬だけに一旦スピードが落ちると再加速するのに時間がかかる。最後はしぶとく伸びてきただけに直線でスムーズなら際どい争いになったのではないか。馬場傾向を考えると直線でスムーズさを欠いたことは余計に堪えた。ダービーは目一杯に仕上げて勝ちに来るものだが、馬体は10キロ増。そのあたりがルージュバックでG1を勝てなかった大竹厩舎ということか。相馬眼的に本格化すればG1を勝つかもしれないが、尻つぼみする一族(ツルマルワンピース、ツルマルグラマー)という点が少し気になる。

ダノンプレミアムは1枠1番からスタートを決めて内ラチ沿いの3番手につけ、メンバー10位の34.6秒で上がって0.2秒差の6着。直線で前にエポカドーロ、コズミックフォースがいて突っ込んで行くスペースがなかった。川田騎手がスペースを見つけて突っ込もうとすると前の馬が寄れてスペースがなくなるということの繰り返し。結果的に1枠1番がアダになった。道中ずっと外にブラストワンピース、その外にワグネリアンがいたことで内ラチ沿いを走るしかなかった。これが社台の断然人気馬なら騎手たちも空気を読むのだろうが、馬主がダノックスでケイアイファームの生産馬。直線で前が壁になったが、絶好調ならガツンと伸びて馬群を割れたのではないか。そのあたりが一頓挫の影響なのだろう。



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