ヴィクトリアマイル
2018/5/13 東京競馬場 芝1600m

レース展望

過去10年で1番人気は[3−3−0−4]で6連対。単勝1倍台は[2−1−0−1]、2倍台は[0−1−0−1]、3倍以上は[1−1−0−2]。前走ドバイに遠征した馬は[2−2−0−0]だが、今年は該当馬がいない。2番人気は[1−0−1−8]、3番人気は[0−1−2−7]で各1連対のみ。6〜9番人気が4連対、10番人気以下が5連対。最近6年は必ず6番人気以下が連対、4年で10番人気以下が連対し、馬連は55倍、80倍、84倍、368倍、35倍、427倍で荒れている。G1実績馬が揃うが、かなり波乱傾向が強い。

前走芝重賞を勝った馬は[1−2−2−22]、4番人気以内でも[0−0−1−8]で不振。前走重賞勝ち馬は人気でも過信禁物。前走6〜9着が5連対、10着以下が5連対。前走重賞なら着順は問われない。前走重賞で惨敗したG1実績馬の巻き返しに注意。16年に阪神牝馬Sが芝1600mに変更されて以降、連対馬4頭のうち3頭が阪神牝馬S組。同距離で関連性が強まっている。16年は9、2着馬が1、2着、昨年は2、3着馬が1、3着に入った。16年はストレイトガールが9着から巻き返し2連覇を達成。前走阪神牝馬Sに出走した馬に注目。

リスグラシューは昨年の牝馬3冠で桜花賞2着、オークス5着、秋華賞2着。今年は東京新聞杯を7番手からメンバー4位タイの33.6秒で抜け出して1分34秒1で優勝。前走阪神牝馬Sは中団からメンバー2位の33.3秒で伸びて頭+クビ差の3着。スローの上がり勝負で前残りになり届かなかった。5戦連続で馬体が増え、パドックでは馬体を大きく見せていた。東京芝1600mは2戦2勝でアルテミスS、東京新聞杯を勝っている。芝1600mの持ちタイムは1分33秒6(チューリップ賞4着)。高速馬場で1分32秒台の決着になったときに真価が問われる。過去10年で武豊騎手は[1−1−0−6]でウオッカで1、2着がある。

アエロリットは良馬場では[3−4−0−0]で連対を確保。前走中山記念は離れた2番手から36.2秒で上がってクビ差の2着。しぶとく伸びて逃げたマルターズアポジーを交わした。東京芝1600mは[1−1−0−0]でクイーンC2着、NHKマイルC1着がある。昨年のNHKマイルCは前半3F34.5秒、5F57.9秒で2番手からメンバー3位タイの34.3秒で抜け出して1分32秒3で優勝。スピードの持続力が優れた馬である程度速い流れで飛ばしても簡単にはバテない。デビューから全て騎乗した横山典騎手がミスパンテールに騎乗するため、戸崎騎手に乗り替わる。先週のNHKマイルCではプリモシーンに騎乗していた。

重賞3連勝中のミスパンテール、昨年のヴィクトリアマイル勝ち馬アドマイヤリード、昨年のオークス馬ソウルスターリング、昨年の桜花賞馬レーヌミノル、前走高松宮記念2着のレッツゴードンキ、前走阪神牝馬S2着のレッドアヴァンセ、同5着ジュールポレール、前走福島牝馬S2着のカワキタエンカ、同3着のデンコウアンジュ、前走京都牝馬S2着のデアレガーロ、昨年のローズS勝ち馬ラビットランなど。ミスパンテールは逃げ差し自在で重賞を3連勝。キャリア1戦で臨んだチューリップ賞でソウルスターリングの2着に入ったのはダテではない。オークスのときのように長距離輸送でイレ込まないことが条件。横山典騎手とは3戦3勝で好相性。

アドマイヤリードは昨年のヴィクトリアマイルを中団から差し切って1分33秒9(稍重)で優勝。荒れた内をロスなく回って直線で少し外に出すルメール騎手の考えられた騎乗でG1初制覇を飾った。今年は東京新聞杯12着、阪神牝馬S4着に終わったが、リピーターの強いレースだけに要注意か。鞍上はMデムーロ騎手。ソウルスターリングは前走阪神牝馬Sで外から早めに押し上げて先団に取りついたが、直線で全く伸びず0.6秒差の10着。上がりは34.3秒でメンバー唯一33秒台の上がりを繰り出せなかった。芝1600mで前半3F34秒台なら2戦2勝。速い流れで地力勝負、緩い流れでも持続力勝負になれば。鞍上はルメール騎手。

レッツゴードンキは前走高松宮記念で中団の内から捌いてハナ差の2着。前2年のヴィクトリアマイルは10、11着。最近の重賞で岩田騎手は乗れている。岩田騎手が内にねじ込んでくるか。レッドアヴァンセは前走阪神牝馬Sで2番手からメンバー7位タイの33.7秒で伸びて頭差の2着。スローの上がり勝負に強いタイプでまさに絶好の展開だった。今回もスローの上がり勝負になれば。デンコウアンジュは昨年のヴィクトリアマイルで中団の後ろからメンバー最速タイの33.2秒で伸びて0.2秒差の2着に入り、11番人気で穴をあけた。東京芝1600mは[1−1−0−1]でアルテミスSではメジャーエンブレムを大外から差し切っている。


レース回顧

2018年 5月13日(日) 2回東京8日  天候: 雨   馬場状態:稍重
11R  第13回ヴィクトリアマイル
4歳以上・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定)  芝 1600m   18頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 2  4  ジュールポレール   牝 5 幸英明    55  1.32.3 33.3  8 460 (栗)西園正都
2 8 16  リスグラシュー     牝 4 武豊      55  1.32.3 32.9  1 450 (栗)矢作芳人
3 3  6  レッドアヴァンセ   牝 5 北村友一  55  1.32.3 33.6  7 448 (栗)音無秀孝
4 5 10  アエロリット       牝 4 戸崎圭太  55  1.32.4 34.0  3 504 (美)菊沢隆徳
5 1  2  ミスパンテール     牝 4 横山典弘  55  1.32.6 33.7  4 504 (栗)昆貢
6 1  1  レッツゴードンキ   牝 6 岩田康誠  55  1.32.7 33.9  6 496 (栗)梅田智之
7 5  9 *ソウルスターリング 牝 4 ルメール  55  1.32.7 33.5  5 484 (美)藤沢和雄
8 6 11  アドマイヤリード   牝 5 M.デム  55  1.33.0 33.7  2 430 (栗)須貝尚介
9 7 13  ワントゥワン       牝 5 藤岡佑介  55  1.33.0 33.4 14 454 (栗)藤岡健一
10 3  5  レーヌミノル       牝 4 和田竜二  55  1.33.1 34.5  9 478 (栗)本田優
11 8 18  メイズオブオナー   牝 4 福永祐一  55  1.33.3 33.8 15 458 (栗)藤原英昭
12 8 17  デンコウアンジュ   牝 5 蛯名正義  55  1.33.3 34.0 11 448 (栗)荒川義之
13 2  3 $ラビットラン       牝 4 川田将雅  55  1.33.3 34.5 12 452 (栗)角居勝彦
14 4  7  カワキタエンカ     牝 4 大野拓弥  55  1.33.5 35.2 10 464 (栗)浜田多実
15 7 14 $リエノテソーロ     牝 4 吉田隼人  55  1.33.6 35.2 17 450 (美)武井亮
16 7 15  デアレガーロ       牝 4 池添謙一  55  1.33.6 33.9 13 468 (美)大竹正博
17 6 12  エテルナミノル     牝 5 四位洋文  55  1.33.7 34.2 16 458 (栗)本田優
18 4  8  クインズミラーグロ 牝 6 藤岡康太  55  1.33.9 33.9 18 452 (栗)野中賢二
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LAP :12.4-11.3-11.5-11.6-11.5-11.1-11.2-11.7
通過:35.2-46.8-58.3-69.4  上り:68.6-57.1-45.5-34.0  平均:1F:11.54 / 3F:34.61
単勝   4 \1940 
複勝   4 \400 / 16 \170 / 6 \350 
枠連   2-8 \2780 (12) 
馬連   04-16 \4090 (17) 
ワイド 04-16 \1320 (14)/ 04-06 \1330 (15)/ 06-16 \870 (5) 
馬単   04-16 \11730 (41) 
3連複 04-06-16 \8850 (23/816) 
3連単 04-16-06 \63640 (193/4896) 

ジュールポレールは8番手の外からメンバー2位の33.3秒で抜け出し、最後はリスグラシューの追撃をハナ差完封してレースを制した。勝ちタイムは1分32秒3。カワキタエンカが逃げて前半3F35.2秒、前半5Fは58.3秒、後半5F34.0秒。雨が降って稍重になったが、高速馬場のままで流れが緩んで上がり勝負になった。ジュールボレールは内枠からスタートを決めて勝ちポジション(中団の外)につけたこと、レースが上がり勝負になったことが大きかった。上がり勝負になったことで上がり勝負に強いジュールボレールが勝ち、レッドアヴァンセが3着。どちらの流れにも対応できるリスグラシューが2着。上がり勝負が得意ではないアエロリットが飛ばしていれば、違った結果になったのではないか。ジュールポレールは昨年重馬場の阪神牝馬Sと稍重のヴィクトリアマイルで3着に入った馬。ヴィクトリアマイルはリピーターが強いレースだが、今年は昨年勝ったアドマイヤリードではなく、ジュールボレールの方だった。サダムパテックの半妹がG1初制覇。重賞初制覇がG1制覇となったのは、今のマイル路線のレベルの低さを示している。安田記念は中距離馬に持っていかれるのではないか。今後は安田記念は使わずに休養し、秋は府中牝馬SからマイルCSに向かう予定。

リスグラシューは13番手からメンバー最速の32.9秒で伸びてハナ差の2着。直線でスペースがなく少し追い出しを待たされたが、武豊騎手が落ち着いて捌いてきた。最後に外から物凄い脚を使ったが、ハナ差届かず2着。これで阪神JF、桜花賞、秋華賞に続き、G1で4度目の2着。Mデムーロ騎手が騎乗してガツンと追えばあっさり勝つのかもしれないが、目一杯の競馬をすると今後の成長を阻害しかねない。奥手のハーツクライ産駒でまだ成長が見込める。実際、馬体はデビュー当時より20キロほど大きくなって成長している。武豊騎手が教育して馬は少しずつ強くなっている。いずれこのコンビでG1を勝つときが来るのではないか。次走は安田記念。引き続き武豊騎手が騎乗することになった。芝1600mは[2−4−2−0]、東京芝1600mは[2−1−0−0]。牡馬を相手にどこまでやれるのか楽しみだ。

レッドアヴァンセは4番手からメンバー4位の33.6秒で伸びてハナ+クビ差の3着。直線で早めに抜け出して見せ場を作ったが、早めに動いたぶん最後は少し脚が鈍った。上がり勝負に強いタイプ。最終調教の動きが目立ったように調子も良かったのだろう。母はエリモピクシー。半兄クラレントはNHKマイルC3着、安田記念3着、レッドヴェイロンはNHKマイルC3着。この一族は東京マイルG1で3着に来ることが多い。今後は休養して府中牝馬Sあたりで復帰することになりそうだ。

アエロリットは好位から徐々に押し上げて直線で抜け出しかけたが、最後に伸び切れず0.1秒差の4着。上がりは12位タイの34.0秒。切れより地力タイプで上がり勝負になって切れ負け。流れが緩むとこうなることは誰もが分かっていたが、渋った馬場で時計、上がりが読みにくかったこともあり、結局は上がり勝負になった。レース後に左前脚の落鉄が判明。いつ落鉄したのかは分からないが、影響があったのかもしれない。次走は安田記念。パンパンの良馬場の消耗戦で古馬相手にどこまで踏ん張れるか。超スローの逃げという秘策もある。

アドマイヤリードは中団の後ろからメンバー6位タイの33.7秒で伸びて0.7秒差の8着。前半から下げて脚をタメようにMデムーロ騎手の流れの読みが展開と逆に出た印象。直線でも伸びない内を突いていた。渋った馬場は得意な馬だが、雨で緩んでも高速馬場というのが合わなかったのかもしれない。もっと時計の掛かる馬場で狙いたい。



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