NHKマイルC
2018/5/6 東京競馬場 芝1600m

レース展望

過去10年で1番人気は[6−0−0−4]で6連対。関西馬は[5−1−0−1]だが、関東馬は[1−0−0−2]。2〜7枠は[6−0−0−2]だが、1枠と8枠は[0−0−0−2]。2番人気は[1−2−1−6]、3番人気は[1−2−1−6]で各3連対。6〜9番人気が1連対、10番人気以下は[2−2−5−81]で4連対。極端な人気薄が3着以内に入ることが多い。最近5年の馬連は218倍、147倍、28倍、9倍、172倍。10〜20倍台を押さえて大穴を狙うのが妙味。

連対馬12頭が前走3着以内。前走4着以下から連対した8頭のうち7頭が2走前に重賞で3着以内に入っていた。前走4着以下に負けた馬は2走前の成績に注目。前走負けたことで人気の盲点になる。ニュージーランドT勝ち馬は[1−0−0−8]、2着馬は[0−1−0−8]。12年に1番人気が勝ったが、マイルで3戦3勝の無敗馬だった。外国産馬は[0−2−1−12]で2連対。14年まで不振だったが、15年に4番人気のアルビアーノ、昨年13番人気のリエノテソーロが2着に入った。

タワーオブロンドンは[4−1−1−0]で3着以内を確保。京王杯2歳Sは中団からメンバー最速の33.2秒で差し切って2馬身差で圧勝。朝日杯FSは7番手からメンバー5位の34.0秒で伸びて0.6秒差の3着。2着ステルヴィオとはクビ差。前走アーリントンCは中団の後ろの外からメンバー2位の34.2秒で差し切って1分33秒4で優勝。朝日杯FSは内を突いて伸びあぐねたが、外をノビノビと走って持ち前の末脚の威力を発揮した。距離と高速決着にメドを立てたが、NHKマイルCは1分32秒台の決着になりやすい。NHKマイルCで好走した馬は後にスプリント重賞で活躍する馬が多い。本質はスプリンターでも問題ないか。

テトラドラクマは東京芝1600mの未勝利戦を3番手からメンバー最速の34.6秒で抜け出して1分33秒9の好タイムで5馬身差で圧勝している。フェアリーSは大外枠から出遅れて前半に脚を使い、息の入れにくい流れになったことが堪えて6着。前走クイーンCは2番手から早めに先頭に立ち、メンバー8位タイの35.9秒でまとめて1分33秒7で優勝。前半5F57.8秒のハイペースでラスト3Fは12.0−11.5−12.4秒に落ちたが、差してきた馬がキャリア1戦のフィニフティしかいなかった。スピードがあり、道中スムーズなら最後までしぶとい脚を使うタイプ。先行して直線で抜け出した後にどこまで踏ん張れるか。

前走毎日杯2着のギベオン、前走ニュージーランドTを勝ったカツジ、同2着ケイアイノーテック、同3着デルタバローズ、前走アーリントンC2着のパクスアメリカーナ、同3着レッドヴェイロン、同5着ダノンスマッシュ、前走桜花賞10着のプリモシーン、前走ファルコンSを勝ったミスターメロディ、同3着のフロンティア、クロッカスS勝ち馬リョーノテソーロなど。ギベオンは新馬、フリージア賞を連勝し、前走毎日杯で5番手からメンバー3位タイの34.0秒で伸びてブラストワンピースに0.3秒差の2着。今年絶好調の藤原英厩舎の管理馬でディープインパクト産駒。デビューから全て外国人騎手。今回はMデムーロ騎手が騎乗する。

カツジは前走ニュージーランドTで後方2番手からメンバー2位の33.9秒で外から差し切って1分34秒2で優勝。前に行くレースをしていた馬が、差すレースをしてパフォーマンスを引き上げた。競馬センスが良く自在性があるディープインパクト産駒。母メリッサはスプリンターだった。ケイアイノーテックは前走ニュージーランドTで中団から早めに動いてメンバー3位の34.5秒で上がって頭差の2着。小回りコースを克服して現時点の力を出し切ったが、本来は直線が長いコースが合うタイプ。前走馬体が12キロ減っていたため、馬体がどこまで回復してくるかがカギになる。母ケイアイガーベラはダートの短距離馬だった。

プリモシーンは桜花賞は10着に終わったが、出遅れて直線でもスムーズさを欠いた。東京芝1600mの未勝利戦でテトラドラクマに勝っている。過去10年で前走桜花賞は[2−0−0−10]、1、2番人気なら[2−0−0−1]。ミスターメロディは[3−2−0−0]で連対を確保。初芝となった前走ファルコンSは4番手から抜け出して1分22秒1で優勝。芝をこなしたが、高速決着、高速上がりに対応できるかがカギ。藤原英厩舎はギベオンと2頭出し。フロンティアは新潟2歳S勝ち馬でドリームパスポートの半弟。前走ファルコンSは7番手から伸びて0.2秒差の3着。左回りでは[2−0−1−0]。馬体がマッチョ化して短距離にシフトしてきている。中内田厩舎はパクスアメリカーナと2頭出し。


レース回顧

2018年 5月 6日(日) 2回東京6日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11R  第23回NHKマイルカップ
3歳・オープン・G1(定量) (牡・牝)(国際)(指定)  芝 1600m   18頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 6 11  ケイアイノーテック 牡 3 藤岡佑介  57  1.32.8 33.7  6 456 (栗)平田修
2 5  9  ギベオン           牡 3 M.デム  57  1.32.8 34.5  2 508 (栗)藤原英昭
3 8 17  レッドヴェイロン   牡 3 岩田康誠  57  1.32.8 34.1  9 474 (栗)石坂正
4 8 16 $ミスターメロディ   牡 3 福永祐一  57  1.33.0 34.9  7 486 (栗)藤原英昭
5 3  5  プリモシーン       牝 3 戸崎圭太  55  1.33.0 34.0  5 478 (美)木村哲也
6 5 10  パクスアメリカーナ 牡 3 川田将雅  57  1.33.2 34.7  4 464 (栗)中内田充
7 4  8  ダノンスマッシュ   牡 3 北村友一  57  1.33.2 35.2 13 470 (栗)安田隆行
8 1  1  カツジ             牡 3 松山弘平  57  1.33.5 35.0  8 484 (栗)池添兼雄
9 7 14 $デルタバローズ     牡 3 石橋脩    57  1.33.5 34.2 16 488 (美)堀宣行
10 7 15  カシアス           牡 3 浜中俊    57  1.33.5 35.2 17 480 (栗)清水久詞
11 3  6 $リョーノテソーロ   牡 3 吉田隼人  57  1.33.7 35.1 15 508 (美)武井亮
12 4  7 *タワーオブロンドン 牡 3 ルメール  57  1.33.8 35.1  1 510 (美)藤沢和雄
13 2  4  フロンティア       牡 3 内田博幸  57  1.33.8 35.5 12 462 (栗)中内田充
14 2  3  テトラドラクマ     牝 3 田辺裕信  55  1.33.9 35.9  3 458 (美)小西一男
15 1  2 *ファストアプローチ 牡 3 蛯名正義  57  1.34.0 35.8 14 530 (美)藤沢和雄
16 7 13  ルーカス           牡 3 ボウマン  57  1.34.5 35.5 10 500 (美)堀宣行
17 6 12  アンコールプリュ   牝 3 藤岡康太  55  1.34.6 35.8 18 420 (栗)友道康夫
18 8 18  ロックディスタウン 牝 3 池添謙一  55  1.36.3 38.1 11 490 (美)藤沢和雄
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LAP :12.1-11.1-11.2-11.9-11.7-11.3-11.5-12.0
通過:34.4-46.3-58.0-69.3  上り:69.6-58.4-46.5-34.8  平均:1F:11.60 / 3F:34.80
単勝   11 \1280 
複勝   11 \370 / 9 \230 / 17 \520 
枠連   5-6 \1890 (9) 
馬連   09-11 \3140 (10) 
ワイド 09-11 \1230 (13)/ 11-17 \3360 (36)/ 09-17 \2180 (21) 
馬単   11-09 \7470 (26) 
3連複 09-11-17 \21840 (58/816) 
3連単 11-09-17 \129560 (368/4896) 

ケイアイノーテックは出遅れて後方2番手からメンバー最速の33.7秒で大外から差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分32秒8。テトラドラクマが逃げて前半3F34.4秒、5F58.0秒、後半3F34.8秒でラップは11.3−11.5−12.0秒。例年並みの流れで前半より後半の3Fが掛かる少しタフなレースになった。ケイアイノーテックは4コーナー手前から藤岡佑騎手が早めに仕掛けて持ち味の末脚の持続力をフルに発揮。前に行った馬が早めにテトラドラクマを潰してラスト1Fのラップが落ちたことも味方した。直線が短いコースのこぶし賞とニュージーランドTでは2着に負けたが、3走前の阪神外回りの500万条件では大外から差し切って4馬身差で圧勝。やはり直線が長いコースが合っている。母ケイアイガーベラは心肺機能が高かった。タフなレースで持ち前の心肺機能の高さを生かせたのだろう。藤岡佑騎手は土曜に京都新聞杯をステイフーリッシュで制しており土日重賞制覇。G1は86戦目にして初制覇となった。今後は休養して秋は毎日王冠で復帰することになりそうだ。

ギベオンは好位から馬群を割ってメンバー5位の34.5秒で先に抜け出したが、最後にケイアイノーテックに交わされてクビ差の2着。Mデムーロ騎手が流れに乗って上手く乗ったが、相手の末脚の持続力と威力に屈した形。NHKマイルCはタフなレースになると1600mよりも長い距離で実績のある馬が激走する傾向があるが、その通りの結果になった。マイル路線は中距離路線よりもメンバーレベルが低いこともあるのだろう。ギベオンはフリージア賞を勝ち、毎日杯2着。本来なら皐月賞を使うが、陣営はマイルの高速決着に対応できるスピードがあるとみてNHKマイルCを選択。仕上げが上手いのはもちろんだが、適性を考慮した選択が今年の好調子につながっているのだろう。賞金を加算できたため、状態面が整えばダービーに挑戦することになりそうだ。

レッドヴェイロンは中団の外からメンバー3位の34.1秒で伸びて2着に頭差の3着。今乗れている岩田騎手がガツンと追って外から持ってきた。右回りで右手前で走る馬で左回りは向くとみていたが、外枠からロスのあるレースをして最後に切れる脚を使った。内を通った馬はごちゃついて脚を余しただけに結果的に外枠は不利ではなかった。リディル、クラレント、レッドアリオン、レッドアヴァンセの半弟。勝ち上がるのに5戦を要したが、その後重賞で3、3着に善戦したのは血統がなせる業か。一戦ごとにパフォーマンスを引き上げており、秋が楽しみになった。

ミスターメロディは2番手からメンバー7位の34.9秒で早めに先頭に立って見せ場を作ったが、最後に一杯になって0.2秒差の4着。藤原英厩舎は2頭出し。逃げたテトラドラクマを潰して、結果的にギベオンのアシストをした形になったが、積極的なレースをして最後までしぶとく踏ん張っている。前走も今回も道中少し掛かっていた。折り合いがつけば、もっと切れる脚を使えるのではないか。芝1600mをこなしたが、本質的には1400m以下が合っている。

プリモシーンは出遅れて後方を進み、直線で前が壁になって大きく外に持ち出したが、そこでケイアイノーテックに外から被せられ、ようやくスペースを見つけて追い出して鋭く伸びたが、最後に前の2頭の間で狭くって0.2秒差の5着。出遅れ、直線で前が壁、外から被せられ、最後に狭くなるという全てにおいてスムーズさを欠いた。それでも直線で鋭く伸びて0.2秒差の5着まで追い上げたように、まともならあっさり勝っていたのではないか。未勝利戦で出遅れて大外をブン回していい脚を長く使ってテトラドラクマに勝ったが、そのときだけ北村宏騎手が騎乗していた。東京でいい脚を長く使えることが分かっていれば、出遅れた後に外に出す選択はできたはず。戸崎騎手は自分が騎乗しなかった未勝利戦を見ていないのではあいか。桜花賞に続き、出遅れてスムーズさを欠き、全く力を出せずに終わった。

タワーオブロンドンはスタートで躓いて内ラチ沿いの中団後ろを進み、直線で前に入られて大きくブレーキを掛ける不利があり1.0秒差の12着。出遅れて直線でも不利があってまともに走っていない。次走は英国遠征か、安田記念になる予定。ゴドルフィンだけに英国遠征が有力か。

テトラドラクマはハナを切って前半5F58.0秒で進めたが、直線入り口で早めに来られて直線で一杯になり14着。クイーンCが1分33秒7、今回が1分33秒9。今の高速馬場なら1分32秒台で走れそうだが、休み明けで馬体が4キロ減って少し腹目が細くなっていた。G1で実績のない厩舎。仕上げ過ぎたか。



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