天皇賞(春)
2018/4/29 京都競馬場 芝3200m

レース展望

過去10年で1番人気は[1−0−1−8]で連対は昨年のキタサンブラックのみ。単勝1倍台のオルフェーヴルは11着、ゴールドシップは5着、キズナは7着に終わった。2番人気は[4−1−2−3]、3番人気は[1−4−1−4]で各5連対。6〜9番人気が2連対、10番人気以下が3連対。最近5年の馬連は31倍、20倍、60倍、201倍、10倍。過去10年で馬連万馬券が3回。かなり波乱傾向が強い。

年齢別では4歳[3−1−5−35]、5歳[4−5−1−39]、6歳[3−2−2−26]、7歳以上[0−2−2−44]で4歳馬が活躍。6歳馬は3番人気以内なら[2−2−0−0]で堅実。7歳以上の高齢馬は未勝利。連対馬15頭が前走3着以内。前走G2好走馬が活躍。前走4着以下から連対した5頭は前走G2で5、6、6、10、10着。穴で前走G2で負けた芝3000m以上長距離重賞実績馬に注意。

シュヴァルグランは天皇賞(春)3着、ジャパンC3着、天皇賞(春)2着などG1で勝ち切れないレースが続いていたが、ボウマン騎手に乗り替わったジャパンCを制しG1初制覇。有馬記念は直線で不利を受けて3着。前走大阪杯は中団から伸び切れず13着に終わった。京都芝2400m以上では[1−2−2−0]で昨年の天皇賞(春)ではキタサンブラックに0.2秒差の2着に入り、3着サトノダイモンドに先着した。

芝3000m以上では[1−2−1−0]。今年はG1馬がシュヴァルグランしかおらず、菊花賞馬の出走もない。前走13着に惨敗しため、単勝1倍台の断然人気にはなりそうにないが、昨年よりメンバーは楽になっている。昨年の天皇賞(春)では3分12秒7で走ってレコードの2着だったが、前半5F58.3秒の速い流れで後半5Fは60.2秒と掛かっていた。上がりの速い軽いレースになったときに真価が問われる。

レインボーラインは16年の菊花賞でサトノダイモンドに0.4秒差の2着。昨年は不良馬場でタフなレースになった天皇賞(秋)で0.4秒差の3着に入り地力を示した。前走阪神大賞典は3コーナー過ぎに外から上がって直線で早めに抜け出すとメンバー最速の35.8秒でまとめて後続を完封し3分3秒6で優勝。Mデムーロ騎手が騎乗した昨年の天皇賞(春)は1.8秒差の12着。今年も58キロと外めの枠がカギになる。

前走日経賞を勝ったガンコ、昨年の菊花賞2着馬クリンチャー、前走阪神大賞典2着のサトノクロニクル、ステイヤーズSを3連覇したアルバート、前走日経賞3着のチェスナットコート、同5着のトーセンバジル、昨年の京都大賞典勝ち馬スマートレイアー、昨年の日経新春杯勝ち馬ミッキーロケットなど。週末は土日とも晴れの予報でJRAが散水しなければパンパンの良馬場になりそう。高速馬場が大きなポイントになる。

ガンコは芝に戻して[3−0−1−0]。前走日経賞は直線入り口で先頭に立ち、メンバー5位タイの35.6秒でまとめて2分33秒9で優勝。緩急のあるラップでスタミナを示した。藤岡佑騎手が強気な騎乗で持ってくるか。クリンチャーは菊花賞2着が不良馬場、京都記念1着が重馬場、阪神大賞典3着が良馬場。京都芝では[2−1−0−0]で連対を確保。皐月賞で1分58秒1で走って4着に入ったが、パンパンの良馬場での高速決着にどこまで対応できるか。武豊騎手が騎乗停止のため、テン乗りの三浦騎手に乗り替わる。

サトノクロニクルは前走阪神大賞典で中団からしぶとく伸びて0.2秒差の2着。ダービー2着馬サトノラーゼンの半弟。58キロ、更なる距離延長がカギ。アルバートは天皇賞(春)で0.5秒差の6着、0.8秒差の5着。今年のメンバーでルメール騎手なら着順を上げてもおかしくない。トーセンバジルは前走日経賞5着は緩い馬場でまともに走っていない。2戦連続でMデムーロ騎手が騎乗する。スマートレイアーは8歳牝馬。1986年以降の天皇賞(春)で牝馬は[0−0−0−18]。ミッキーロケットは菊花賞で5着がある。過去10年で1枠は[5−1−1−12]。好枠を生かして和田騎手が持ってくるか。


レース回顧

2018年 4月29日(祝) 3回京都4日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11R  第157回天皇賞(春)
4歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定)  芝 3200m・外   17頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 6 12  レインボーライン   牡 5 岩田康誠  58  3.16.2 35.2  2 452 (栗)浅見秀一
2 6 11  シュヴァルグラン   牡 6 ボウマン  58  3.16.2 35.8  1 474 (栗)友道康夫
3 4  8  クリンチャー       牡 4 三浦皇成  58  3.16.3 35.7  4 488 (栗)宮本博
4 1  1  ミッキーロケット   牡 5 和田竜二  58  3.16.4 35.5  9 480 (栗)音無秀孝
5 1  2  チェスナットコート 牡 4 蛯名正義  58  3.16.5 35.9  7 452 (栗)矢作芳人
6 8 15  トーセンバジル     牡 6 M.デム  58  3.16.7 36.2  8 484 (栗)藤原英昭
7 8 16  スマートレイアー   牝 8 四位洋文  56  3.16.8 35.3 12 470 (栗)大久保龍
8 7 14  アルバート         牡 7 ルメール  58  3.16.8 36.1  6 474 (美)堀宣行
9 2  3  シホウ             牡 7 浜中俊    58  3.17.2 35.9 14 514 (栗)笹田和秀
10 3  5  ヤマカツライデン   牡 6 松山弘平  58  3.17.3 37.0 11 540 (栗)池添兼雄
11 7 13  トウシンモンステラ 牡 8 国分恭介  58  3.17.4 35.9 17 488 (栗)村山明
12 5 10  サトノクロニクル   牡 4 川田将雅  58  3.17.5 36.9  5 458 (栗)池江泰寿
13 5  9  ソールインパクト   牡 6 福永祐一  58  3.18.0 37.3 13 488 (美)戸田博文
14 3  6  ガンコ             牡 5 藤岡佑介  58  3.18.1 37.7  3 504 (栗)松元茂樹
15 4  7  ピンポン           牡 8 宮崎北斗  58  3.18.2 36.9 16 478 (美)粕谷昌央
16 2  4  カレンミロティック セ10 池添謙一  58  3.18.4 37.3 10 456 (栗)平田修
17 8 17  トミケンスラーヴァ 牡 8 秋山真一  58  3.24.9 42.6 15 498 (美)竹内正洋
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LAP :13.0-11.2-11.4-12.0-12.5-12.3-12.0-13.2-12.6-12.6-12.8-12.6-12.1-12.1-11.4-12.4
通過:35.6-47.6-60.1-72.4  上り:73.4-60.6-48.0-35.9  平均:1F:12.26 / 3F:36.79
単勝   12 \600 
複勝   12 \190 / 11 \140 / 8 \240 
枠連   6-6 \1020 (5) 
馬連   11-12 \1030 (1) 
ワイド 11-12 \400 (1)/ 08-12 \810 (9)/ 08-11 \530 (3) 
馬単   12-11 \2510 (6) 
3連複 08-11-12 \2060 (1/680) 
3連単 12-11-08 \11650 (8/4080) 

レインボーラインは内ラチ沿いの中団の後ろを進み、直線で外に出せず内に切れ込んでメンバー最速の35.2秒で最後に交わしてクビ差でレースを制した。勝ちタイムは3分16秒2。ヤマカツライデンが逃げて前半5F60.1秒。中盤に流れが緩んで後半5F60.6秒でラップは12.6−12.1−12.1−11.4−12.4秒。例年は前半5Fより後半5Fの方が速くなるが、今年は逆になり上がりの掛かる消耗戦になった。レインボーラインは6枠12番スタートだったが、岩田騎手が内にねじ込んで道中内ラチ沿いをロスなく進んで脚をタメれたことが大きかった。心肺機能が高く消耗戦に強いタイプ。これまでも札幌記念3着、菊花賞2着、天皇賞(秋)3着(不良)で心肺機能の高さを示していた。母系に菊花賞2着馬レインボーアンバー。この一族は心肺機能が高く消耗戦に強いタイプが多い。馬場を考えるともっと上がりが速くなってもおかしくないが、これが今年のレベルなのだろう。ゴールした後に歩様がおかしくなり岩田騎手が下馬。右前肢跛行と診断されたが、現役を続けられるかどうかは精密検査の結果次第になる。

シュヴァルグランは4番手から徐々に進出して直線入り口で2番手に押し上げ、直線でガンコを交わして先頭に立ったが、最後にレインボーラインに内から交わされてクビ差の2着。上がりはメンバー5位の35.8秒。ボウマン騎手が正攻法のレースで勝ちに行ったが、最後に少し甘くなった。G1で初めて1番人気に支持され、いつもとは違うマークされる立場で正攻法のレースをして2着に粘ったことを評価したい。前走大阪杯は13着に終わったが、宝塚記念で9、8着に負けているように阪神内回りは合わないこともあるのだろう。調教でも攻めていなかった。芝3000mの阪神大賞典を使わずに芝2000mの大阪杯でお茶を濁して余力を残したというのが正解なのではないか。今後は宝塚記念は使わず春は休養し、秋は京都大賞典、ジャパンC、有馬記念になりそうだ。

クリンチャーは内の7番手から徐々に進出して直線で外に出し、メンバー4位の35.7秒で上がって0.1秒差の3着。テン乗りの三浦騎手がロスなく進めて上手く乗ったが、あと一歩足りなかった。現時点の力は出している。レインボーラインは菊花賞2着馬、シュヴァルグランは天皇賞(春)2着馬、クリンチャーは菊花賞2着馬。人気が割れて混戦と言われたが、京都の長距離戦で実績のある3頭で決着した。クリンチャーは良馬場でも走れるが、渋った馬場の方が他馬が苦にするぶん有利になる。馬場が渋ったときは要注意。今後はひと息入れて秋はフォワ賞から凱旋門賞に向かう予定。

ミッキーロケットは1枠1番から内ラチ沿いをロスなく回りメンバー3位の35.5秒で最内から伸びて0.2秒差の4着。休み明け、58キロ、G1と条件は厳しかったが、1枠1番からロスなく回って見せ場を作った。1枠2番のチェスナットコートは内ラチ沿いをロスなく回って0.3秒差の5着。1枠からロスなく回れることはやはり有利だった。

スマートレイアーは最後方から大外を回ってメンバー2位の35.3秒で追い込んで0.6秒差の7着。最後は大外から伸びてきたが、いかにも位置取りが後ろ過ぎた。四位騎手は後方に控えたのは調教師の指示だったとコメント。上がりはレインボーラインに0.1秒差。レインボーラインの位置につければもう少しやれたのではないか。



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